Staff diary  
業務日誌[2008]

[文 / 益田(制作)]

3/31(月)

月刊Audition誌上にて告知してましたオーディション(アーティスト募集),本日をもって応募の締切りとさせてもらいます.たくさんのご応募ありがとうございました.一次選考の結果は来月中に発送予定です.


3/30(日)

象(elephant)は絵を描くという.まあ絵画といえば言い過ぎで,要はあの長い鼻で絵筆を持ち,キャンバスを絵の具で汚したりするらしい. ある程度予測できる事態ではあるが,出来上がったその絵らしきものを絶賛する手合いも相当数いるという.事実,それらを扱う画商が存在する. 私は,象の描く絵に創作物・芸術としての魅力は感じない.研究対象として学術的な興味をそそられる,などというのなら分からないでもないが.

私が象の描く絵に魅力を感じない唯一の理由は,彼らが物を考えていないからに他ならない. 無論彼らなりの脳の動作はあろう.しかし言語を獲得していない以上,その思考の深度もたかが知れている. 私は自分の芸術観を他人に押し付けるつもりは毛頭無いのだが,ピカソの抽象画と象の描く絵を明確に区別しない人,というのは,私とは余程異なる心境で芸術を捉えているのに違いない.


3/29(土)

神田優花,先日録った新曲のチェックを兼ねてのリハ.

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影山リサ,新曲の最終リハ.次回は歌録りとなります.

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3/28(金)

今週のリハーサル.

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広瀬沙希,レコーディング. 前回の歌入れに納得行かなかったみたいで,今回再レコーディングでした.

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3/26(水)

ずっと曲作りしてます. 今日はFM音源をふんだんに使った80年代っぽいPOPSを作っていた.影山リサのレパートリーに幾つかあるパターンなのだけど,もうこの手の引き出しも飽きてきたな.


3/25(火)

女の子が歌うようなコケテッィシュなギターポップが作りたくなって,ずっとギターを弄っていたのだが,アレンジがシンプルな曲だったからか,一日で仕上がってしまった.近いうちに誰かに歌詞を付けてもらおう. それにしても私はギターが下手クソだな.弾いていて嫌になる.


3/24(月)

当たり前の事だが,楽器は人体の構造に合わせて作られている.ピアノの1オクターブは人間の親指から小指までの距離を元に設計されているし,ギターのネックも人が握ることを前提にあのサイズ・フォルムになっている.あのチューニングも和声のカデンツに沿って設定されているわけだ.ピアノなどの鍵盤も,何気ない配列に見えるかもしれないが,あれはスケールなのだ. だからして,楽器などを適当に奏でていると,音楽らしきものが出来上がったかのように錯覚してしまうことがある. 楽器はある意味,ごくベーシックな音楽様式を模倣する為に作られているのだから,触っていれば当然,それらしき音ぐらい鳴ってしまうものなのだ.

音楽は手で作るものではない.アタマで作るのだ.考える力の無い者に創作は出来ない. ヨーロッパの社会からあれだけの巨匠が群がり出たのは,無論,彼らの「考える能力」と無縁ではない.日本から出て来なかったのも,同じ理由に違いない. 音楽を手で作ってばかりいると,いつまで経っても本当の創作に辿り着けない. 楽器ってのは,脳の運動の補助器具みたいなものに過ぎないのだ.


3/23(日)

先週は珍しくスタジオリハが無かった.それとは別にすべき事が多くて,それどころで無かったからだ. 今はちょっと仕事の区切りが良くて,一休みさせてもらっている.明日からまた通常の業務体制に戻ります.


3/22(土)

昨日の撮影.写真は神田優花.

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以下,影山リサ.

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3/21(金)

新調したマウスが使いにくくて困る.それにしても雨ばっかりでウザいな.

今日はスチール撮り,以下はその時の写真です.

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下は片飛鳥.残りは明日以降に上げます.

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3/19(水)

手の平サイズのレコーダーが欲しい.スタジオリハでちょっとしたテイクを録るだけ,みたいな用途に限定したものじゃなくて,トラックが4つぐらいはあって,きちんとしたビットレートで録れて,そのまま編集・マスタリング(要するに商品化)出来るようなものって無いのだろうか. 今使ってるHDレコーダーのADコンバーターの質が割りと良くて,なかなか手放せないのだけど,デカ過ぎて持ち運びに不便過ぎる. ここ最近,方々で物色してはいるのだが,良い物があったら教えて下さい.


3/18(火)

仕事で使っているマウスのホイールが,どうやら壊れたらしい. 壊れてみて気付いたのだけど,意外とホイールって使っているもんだな.

先週末からずっと働きっぱなしだったのだが,とりわけ月曜はけたたましかった. 今ちょっと一息ついているのだけど,まだ暫くはこの忙しさが続きそうです.


3/17(月)

最初から分かっていたが,土日は編集・事務作業に追われて全く休めなかった. そして今日も引き続き,残った仕事を片付けてます.


何やら世間を取り巻きつつある「教養ブーム」みたいなもの,あれは何なのだろう. 教養といっても,ここで言っているのはそんな大層なものでなく,薀蓄と呼ぶほどのレベルでもない,いわば雑学である. しかし教養というは「体系」のことであって,断片だけで記憶しても詮無いことだと何故誰も言わないのか,不思議でしょうがない.


3/16(日)

先日,新作「ごめんね。」を発表したばかりの片飛鳥,今週のリハーサルの様子です.

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影山リサ,新曲の歌入れでした. 今回録った曲は,初めて本人が作詞したモノです.公開に関しても,近いうちに何らかのアナウンスをすると思うので,お楽しみに.

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3/15(土)

今週スタジオで撮った写真.

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佳乃,新曲の歌録りでした.近々新しい音源も出来上がりますので,よろしく.

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広瀬沙希,新曲の歌をとりあえず録ってみたのだけど,あんまり満足行くテイクが録れなかったので,後日再度レコーディングすることに.たまにはこういう事もあります.

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3/14(金)

神田優花,新曲のレコーディングでした.その歌録りの模様. 結局今週は4件もレコーディングしてまった.今日も遅くまでスタジオで,時間が無くて丁寧なテキスト起こしていられない.

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3/13(木)

今週は前半割とヒマだったのだが,後半になって,事務作業やら何やらで俄かに忙しくなってきた. しかも今週はまだ2曲も歌録りが残っている.うち1曲は大至急上げなければならない音なので,週末はそれの編集で休みが取れないことが既に決定済み.


3/12(水)

ウチが出している諸音源,パッケージ物・配信ともに,ここ最近売り上げ漸増気味だ(元が大した数じゃないだけに).まあ驚くような売れ行きでは無論ないのだけれど,音楽が売れないこのご時世に,有難いことではある.

こう言っては,せっかく買ってくれてる人に悪いのだけど,パッケージ売りって本当に面倒だ.特にインディーズ物. ウチは一応レーベルなので,在庫という奴を当然抱えているわけだが,注文が入る度に所定枚数を引っ張り出してきて,梱包して,納品書書いて発送する,というだけでも一仕事なのに,商品ストックが減ってきたら,追加製造しないといけなかったりする.当然ながら,常に在庫量をある程度把握しておかないといけない.特に発表後間もないアイテムの場合.

その点,配信物って本当に楽だ.リリース前なんかは当然やる事も一杯あって,それなりにバタバタするのだけど,一旦発表してしまったら一先ずはそれで終わりで,あとは各販売(仲介)業者から定期的に明細が送られてくるだけである. スタッフはそれを見ながら「へぇ〜先月は結構売れてるね」なんてのん気に言ってるわけだ. これはどこのレーベルでも基本的に同じ筈である.

出来ることなら今後,出すタイトルは全て配信にシフトして行きたいのだけど,まだそうも行かないらしい.やっぱり「物質」の需要って根強い. 私個人としては,音質が現行のCDのクオリティと同等(44.1kHz/16bit/STEREO)に出来るなら,全部ダウンロード販売に移行しても構わないと思う.何年先の話になる事やら分からないが.


3/10(月)

影山リサの新作「ジュヴナイル」が本日より販売開始されています(詳しくはInfo参照). 試聴も出来るので,是非チェックしてみて下さい.


3/9(日)

土日は休まず仕事,の予定だったのだが,思っていたより早く作業が終わったので今日はここで切り上げる. これからしばらく(夏ぐらいまで)の間,何タイトルかリリースが続きます.このページでも追々お知らせしていきます.お楽しみに.


3/7(金)

今週スタジオで撮った写真.

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3/6(木)

本日より,JETROBOTさんのところで,片飛鳥の「ごめんね。」,販売開始してます. 前作「LIFE」発表後,約一年半ぶりの新作になります.良かったら聴いてみて下さい.


3/5(水)

十代の頃に買ったテレキャスターを引っ張り出してきて,日がなギター録りをしていた. エレキギターって構造が単純だからなのか,壊れにくくて良い.中学生ぐらいの頃に初めて買ったギターですら,今アンプに繋げても音が出るような気がする.


3/4(火)

今週のスタジオでのカット(影山リサ).

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またここ最近(先月ぐらいから),何やら忙しい. 何故忙しいのかは,事情があって詳細には明かせないのだが,とにかくやるべき事が多くて,一日が終わるのが物凄く早い. 以下,現在新曲制作中の神田優花.来週歌録りの予定です.

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3/3(月)

今週のスタジオでのカット.

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3/2(日)

前から誰か言わないかと思っていたが,誰も言わないのであえて私が言う. 「ほうれいせん」という言葉をご存知だろうか.数年前から耳にするようになった気がするのだが,「鼻から左右の唇の端にかけて入っている皺」のことらしい. こんな言葉を過去に見聞きした覚えがなかったので,辞書などで調べてみたのだが全く出てこない.やっとのことで新語辞書に「豊麗線」なるものを見つけたが,新語辞書というのはいわばスラングのリストでもある.権威ある辞書の類には全く出てこない. 正統な日本語でなく,外来語(漢語を含む)でもなく,要するに単なる「造語」なのだと思われる.

造語であろうと思われる根拠として,まず辞書類に見られず,どういう字を当てるのかも定かでない.「法令」・「豊齢」など幾つかのパターンが散見されるが(「せん」は線で統一されている),統一的な見解は無いらしい.そもそもどの字も概念を表す漢字としてあまり適当でない.

個人的に造語はあまりよろしくないと思うが,已む無き場合もあるにはあると思う. それ自体を指す語が存在しないモノ・概念があると不便だからだ.地名などは,その分かり易い例だといえる.だからして,古い地名などは「音」の方が先にあり,字は後から当てられている場合も多いので,古くは漢字表記が一定していなかったりする. しかしながらこの「ほうれいせん」,そのケースにすら該当しない.耳慣れない言葉ではあるが,その概念を指す語として「鼻唇溝」という医学用語が一応は存在しているらしいからだ(これとて私には初耳だったが). 因みに,よく使われる「滑舌(かつぜつ)」という言葉なんかも広義の造語である.しかし一見しただけで,意味の想像がつく.要するに「舌の滑らかさ」という意味なのだが,「舌滑」とかにしなかったあたりも何となく漢語っぽいし,作った人間にそれなりの知性を感じなくもない. どちらかと言えば,定着するタイプの新語だろう. 少なくとも「ほうれいせん」よりはマシだ.

明治期の日本はヨーロッパ型の文明を受容したのだが,その際,当時の知識人は,それまでの日本語にない用語の訳語を大量に生産した. 例えば,honestyの訳語は「正直」なのだが,呉音であることからも分かるように古い日本語である.honestyに相当する日本語が存在したので,そのまま訳語となった.しかしphilosophy・economyといった,概念ごとそれまでの日本に無かったものもあり,「哲学」・「経済」などという日本語は,その当時俄かに作られた. ただ,付け焼刃ではあったが,作ったのは曲がりなりにも知識人である.「経済」一つとっても,一応は漢籍を出典としている(経世済民). 「ほうれいせん」にはその出典もおそらく存在しない. 子供なんかの間で流行ったりする,「全く無根拠な造語」の類だと考えてほぼ間違いないと思われる.

日本のいわゆる戦国時代ごろに,一時「へいかい(へいくわい)」という言葉が流行した.「横柄」だとか「生意気」だとかいった意味合いで使われたのだが(「へいかい者」とかいう風に使用),結構流行った言葉らしく,その当時の文献に幾らでも出てくる.言葉が流通していた時代から考えても「日葡辞書」なんかにもあるかもしれない.調べてないけど. しかし,この「へいかい」も,上の「ほうれいせん」と同じく,おそらくは全く根拠(語源)が無く,どんな字を当てるのかも不明である(文献上も当て字がバラバラ). だからかどうか知らないが,その言葉,その後おそらくは江戸期あたりに淘汰され,目出度い事にすっかり現代日本語からは消滅した. 歴史的経緯不明の言語というのは,他の日本語との相関上,淘汰されやすいのかもしれない. 今思ったのだが,ひょっとしたら平懐(=無遠慮)のことか?だとしたら僅かに痕跡を残していると言えなくもないけど.多分違うだろうな.

私はこの「ほうれいせん」という言葉を,気持ち悪いと感じる.少なくとも積極的に使う気にはなれない. 俗語・卑語を怪しからんというのではない.それが子供の間で流行るスラングと同類の物だと意識せず,当然のように日本語と思って使用するのを如何なものかと感じてしまうのだ. 私が気持ち悪く感じる理由を以上に述べた.ちょっとスッキリした.


3/1(土)

今週のスタジオにて(写真は影山リサ).

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2/29(金)

今週のスタジオでのカット.

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片飛鳥は来月,新作「ごめんね。」を発表します.下はそのジャケの画像.

ごめんね。


2/28(木)

今週の神田優花. 相変わらずのリハーサルでした.

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昨日ちょっと話題にした「ジュヴナイル」(影山リサ)の試聴用MP3を上げてみた. この曲(タイトルナンバー)は,影山リサのナンバーとしては,珍しく私が全部(詞・曲を)書いた. 音源の方にはこれ以外に2曲,計3曲収録されています.良かったら商品版の方もチェックしてみて下さい.

ジュヴナイル」(MP3)


2/27(水)

影山リサ,先週録った新曲の上がりをチェックしてました. 既にトップページに広告入れてるんですが,影山リサは来月に新作「ジュヴナイル」を発売します.モノはもう上がっているので,その外観を今週のリハーサル風景と合わせてUP.

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2/26(火)

今週のリハーサル風景.

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オークション・サイトでアナログレコード(の装丁)を眺めるのが,最近の私の趣味となっている. きょうびレコードなんて,大多数の普通のCDショップにはまず置いていない.その手の専門店に行けばあるにはあるけど,一々足を運んでいられないし,また店舗では実際に手にすることは出来るものの,モノが骨董品という側面もあるだけに,通常開封して中身までは取り出せない.

オークション・サイトは品揃えも豊富ながら,有難いことに,一つ一つのジャケットや中身(歌詞カードなど)を実に丁寧に画像で公開してくれている. 一般にオークションに出回るレコードは,当たり前だがモノが古いので,経年相応の劣化は付き物である.それだけに,クレーム回避の為にも商品の外観などを詳細に公開する必要があるのだろう. まあとにかくこのオークション・サイトのチェック,CD屋巡りが好きな人なんかにはお薦めの娯楽である. 因みに私自身,オークション・サイトを見ること自体は好きなのだが,商品を買う事は無い.そもそもレコードプレイヤー持ってないので.


2/25(月)

最近仄聞して,ちょっと面白かった事. 本題の前に,音作りの手法について多少の説明を入れておく. 昔(といっても僅か数十年前まで)は,録音物に記録されている楽器演奏は全て生だった.いわゆる「打ち込み」が無かった時代の話である. その後シーケンサーやシンセサイザーなんてものが誕生して,MIDI規格も確立する.DTMなんて言葉もそれなりにカジュアルになった.この辺で一般人にとっての音楽制作の敷居は随分低くなったものと思われるが,さらにその後,ループ(数小節程度の演奏が記録されたオーディオファイル)を貼り合わせて音楽を作る「ループミュージック」みたいなものも一般化され出した. HIPHOPなんかのサンプリング・ブレイクビーツみたいなものを,もっとお手軽にしたような制作手法なのだけど,知らない人にこの説明で概念ごと理解してもらえるかは甚だ心許ない.分からなかったらごめんなさい.

一般にDTMといわれる作業の中でも,PCM音源を使用した制作手法は,単音毎にサンプリングされたフレーズを貼り合わせて作品を仕上げていく.なので,生演奏の録音に比べ制作コストが抑えられるのみならず,単発の音単位で聴くと,一応それなりにリアルな楽器音に聞こえる.サンプリング元の録音環境や奏者は,当然それなりのクラスなのだ. しかしこれにも弱点はあって,基本的に単発音を張り合わせるだけなので,複雑な奏法のニュアンスや,和音を表現する際のリアルな「倍音感」みたいなものを再現するのは苦手である.

「ループミュージック」というのは,張り合わせる元ネタが,単音でなくフレーズごとのサンプリングなわけだから,上の制作手法における弱点を補完していると言えなくもない. しかし当たり前の話だが,楽曲表現の自由度は物凄く低い.因みに,私はトラック制作において,この手法を基本的に使わない. 誰ぞやの演奏した数小節のフレーズを継ぎ接ぎしたモノを「自作曲」と呼べるのか,などという声は,その手のツールが出だした当初からあるのだが,しかしネタ元のフレーズを知らない人が聞けば,あれほどリアルで完成度の高い録音物は無かろうと思う.当然市販のループは,一流のプレイヤーの演奏によるものなのだ.

前置きが長くなった. 音楽,とりわけトラックを作る人がいる.専業の音屋さんたちばかりでなく,クラブDJなんかも音を作る. 一部のDJさんたちは上記の「ループミュージック」を自作曲として発表していたりもするのだが,それ(ループで作ったトラック)を聞かされる方のクラバーの皆さんは,その音を「チープだ」と感じるそうである. ハッキリ言って私は驚いた.大多数の人間は,やっぱり本質的に「音」なんて分からないのだ. まあ大前提として,音に好き嫌いはあっても,良し悪しなど無いのだが.

何故「チープだ」と感じられてしまうのか.それは,それらのトラックがあまりに簡単に出来てしまう故に,当然ながら多くの人がそれを自作でき,従って作品も「量産」されてしまうからである. 聞かされる方は,有り難味が薄れ,いつの間にか頭の中で,それらは「チープ」な音に変換されてしまったのだろう. なんだか面白く感じてしまった私なんだが,この感覚,共有してもらえないかもな. ついでだけど,私はこの「ループミュージック」の是非について論じるつもりは無い.


2/23(土)

源泉徴収という制度にわりかし従順な日本人は,本当に平和を希求する民族なのだろう.フランスとかだったら暴動が起こっているな.きっと. 先日,確定申告というヤツに出向いたのだが,あれも如何なものだろう. 年末調整や確定申告だのを含んだ「税のシステム」や実際の手続きについて,義務教育でキチンと教えろと言いたい. 学校などで「税の意義」みたいなものを聞かされた記憶はあるが,納税(還付請求)についての実務面でのレクチャーを受けた記憶がない. 義務教育にそれを盛り込むだけでも,この時期の税務署の混雑は多少緩和される筈なのだけど.


2/22(金)

神田優花,先週録った音と新曲のメロディーラインのチェックをしてました.先週録った新曲は,本人もいたくお気に入りだそうだ.

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忙しい.一日があっという間に終わってしまう. 短期間に曲なんかを量産し過ぎると,「作曲(トラック作り)とかって,物凄く簡単なのではないか」などと思われそうでイヤなのだが,実にあれは手間がかかるものなのだ.私がここまでクレイジーな奴でなければ,絶対にこんなペースで音なんて作れない. 今日もまた編集作業に戻ります.


2/21(木)

いつものリハーサル風景をUPしてみる(広瀬沙希).

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影山リサ,今週もレコーディング.ここ最近,歌録りばっかりです.

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2/20(水)

ウチの音源,パッケージ物に関しては通販等も含めて,国内オンリーの流通品なのだが,ダウンロード販売については,iTSのみ海外でも(外貨にて)購入できる. 今回その海外での販売について.

当初,海外で売り出す事について,「売上げなんてどうでもいいけど,トピックスとして面白そうだからやってみよう」といった安直な発想で始めた. ところがその海外での販売,何を隠そう現在では,数字的には国内での売上げを凌駕しつつある. 何のプロモーションもしてないのに. 一体誰が買っているんだ.

因みに上の話は,神田優花・鈴木サヤカの諸タイトルの事なのだが(他はまだ配信物出してない),両アーティストがここ暫くパッケージ物を出していないから,というのも背景としてはあるかもしれない. さすがにリリース直後なんかは,まだCDの方が出る傾向にある.


2/19(火)

仕事で使っているPCの一台が調子悪い. 独りでに起動したり,あるいは落ちたりする.落ちるのは電源関係のハードウェア的なトラブルだと思われるが,勝手に起動するのも同じところに原因があるのだろうか. 完全に落としているのに立ち上がってくるのだから,BIOSの問題なのかもしれない.とにかくどうすればいいんだ.誰か教えて下さい.


2/18(月)

先週末からずっと編集作業をやっていた.いつものことだけど. 先週録った音を早速弄っているのだが,その曲の声部が多くて大変なのだ.正味二曲分ぐらいの作業量になる. ボーカルの処理が一番めんどいな.


2/17(日)

影山リサ. ここ最近,スチール撮りや立て続けに新曲のレコーディングで,ちょっと忙しいみたいです. 先週,急遽入った歌録りの様子をUP.

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ちょっと前から,右手の人差し指の先端が微妙に痛い. どこかにぶつけたわけでもなし,暫く原因を特定しかねていたのだが,やっと分かった.クリック(マウスの)のし過ぎだ. しかしこればかりは致し方ないな.

以前視力が弱ってきた時にも,その原因がほぼ完璧に特定出来ているのにかかわらず,私は如何ともしようがなかった. 直接の原因が「画面を集中して見過ぎている事」だったからである. 私はそれが仕事なのだ.視力を犠牲に飯を食っているとも言える. プロ野球選手が「筋肉痛の原因は,野球のし過ぎです」などと診断されても,どうにもしようがないだろう.仕事をやめるわけにも行かないだろうから.


2/16(土)

また今週スタジオで撮った写真を上げてみる.

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昨日は何だか怠かった. リハ終わった後に遅めの昼食をとったら,仕事をやる気が失せてしまって,結局5時ぐらいに仕事を引き上げた.一応やっていた5時までの仕事も,作業の能率は非常に悪かった. 滅多に無い事ではあるが,私にもたまにこういう日がある.今日は真面目に編集作業に入ります.


2/15(金)

神田優花,今週は新曲の歌録りでした. 今回の曲は声部が多かったのだが,一応必要なテイクは問題なく録れたと思う. ここ最近,録り直し(再レコーディング)が多かったので,今回はそうならないように気をつけた. まあ今回も実際に編集始めてみないと分からないわけだけど.

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2/14(木)

とりあえず今週のリハーサル風景をば.

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2/13(水)

ここ何日か,デザイン関係の作業ばかりやっている. 音作り以外の作業(特にデザイン関係など)は,嫌いとまで言わないが,せずに済むならその方が有難い.が,仕事をしながら音楽を聴けることだけは嬉しい.

音作り以外の作業が忙しくて,音関係の機材にほとんど触れてなかった. 私は常に音楽を吐き出していないと,アイディアが頭に溜まって来て,あんまり度を越すと気持ち悪くなって来る. 困った事に,今頭を擡げている曲想はかなり大きいのだ.早めに音作りに入りたいけど,しばらくまとまった時間が取れそうに無い.


2/11(月)

今日は祝日だそうだが,我々は休めない.多忙なのだ.これから数ヶ月間はずっとこんな感じだろうな.

ついこの間,スチールを撮ったのだけど,撮影そのものもさることながら,スチールのカット選びって本当に一苦労だ. 一人分何百枚という画像を一々見比べて,ジャケやアー写用のカット(僅か数枚)を選ぶのだが,ほとんど一日作業になる.幸い,今回私はその作業を担当していないのだけど.


閑話休題. 一般的に音楽家になるような人は,親などの意志により,幼少期から音楽の英才教育を受ける.無論本人にその適性もあったりして,結果的にその分野において他人より秀でてしまう. 出来るからこそ,本人もそこにアイデンティティーみたいなものを見出してしまい,結果音楽家になってしまったりする. 別に音楽家に限った話でもなく,どの分野においてもごくありがちなパターンだ. 私はいわば音楽好きなオッサンなわけだが,どうも世間にいるいわゆる「音楽家」・「音楽好き」の人とは若干の温度差を感じてしまう. 多分私の方が純粋な音楽家でないのだろう.

私は子供の頃,学校の授業で習う音楽が極度に嫌いだった.当然成績も悪かった. 何故あそこまで嫌いだったのか,今になってよく考えるのだが,一種の少年期のノイローゼみたいなものだったのかもしれない.それ程に嫌だった. 一方,得意科目は何だったかと言うと(自分でいうのも何だが),絵や彫刻などの「図画工作」.これは今でも好きだ.

私は,スポーツ(身体能力)としての音楽力において,多分人より劣る.音感やリズム感といったものである. 狭義の音楽ってまさにこの「身体能力」なわけだから,要するに私は今でも音楽が苦手なのだ. きっと私は,今も図画工作をやり続けているのだろう.作品を仕上げるのに,絵の具でなく「音」を使っているだけなのかもしれない.


2/10(日)

影山リサ,先週と先々週に録った計2曲の上がりをチェックしてました.

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随分昔(と言っても2003年ぐらい)に作った曲の原形を聴き直そうと思い,ファイルを開いてみたが,音が正しく出ない.それだけでなく,再生中にホストごと落ちてしまう. 何やらエラーメッセージが出てはいるのだが,ゴチャゴチャとプラグインを起動しまくった状態で保存していたファイルなので,どこに異常があるのか,原因が特定できなくて参ってしまった. 結局何時間か格闘した挙句,そのファイルは再起不能だと判断,元の音に極力近いものを作り直した.

私はかなり色々なプラグインを使うし,プラグイン自体を自作したりもする. 市販品ばかりでなく,個人が作ったフリーのものなども結構使っているので,それらソフトの完成度もかなりマチマチだ. ホストアプリケーションのバージョンを上げたぐらいで使えなくなるプラグインなんかもある. しかしこれは仕方ないな.市販品などの安定したソフトばかり使っているわけには行かないのだ.


2/9(土)

神田優花,先週録った新曲の上がりをチェック. 神田優花は,来週にはもう次の曲の歌録りの予定です.

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2/8(金)

今週のリハーサル風景.写真は広瀬沙希. この日は新曲のメロディーラインをチェックしてました.

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この間,ドリフターズ(日本人の方)のCDを聴いていたら,歌の中にとある単語が出てきて,私は一瞬それが聞き取れなかった.「アルサード」とか何とか言っているようにも聞こえたのだが,歌詞を確認してみて初めてそれが「アルサロ」である事を知った.しかし「アルサロ」の意味が分からない. 結局辞書で調べると,

アルサロ
〔アルバイト-サロンの略〕アルバイトの主婦・学生などがホステスをしているキャバレーを称した語。昭和20年代後半に流行。

大辞林 第二版(三省堂)


とあった.しかし,こんな言葉初めて聞いた.ある一時代にだけ流行した俗語なのだろうけど. 上で「聞き取れなかった」といったが,実はそのアルサロが「遊興施設」である事だけは何となく分かっていた.歌詞の流れの中で,その言葉は「キャバレー」の後に来るので,文脈上,大づかみな想像が成立したのである. それはさておき,何故私は「アルサロ」を聞き取れなかったのだろうか.

人間は日常会話の際,自分以外の相手が発する膨大な言語を,そのまま耳で受信していると思いがちだが,厳密には違う. 鼓膜が体感できる音声など極めて心許ないものだし,聴覚なんてものがそもそも精度が悪い. 人間は音声をキャッチするのと同時に,自身の脳内にある「言語データベース」とでもいうべきものを参照し,その中から,音韻的に近く,前後の文脈上も無理のない単語を選んでいるに過ぎない.実のところ一種の照合作業をしていると言って良い. 語り手の側から見てみると,自らの発する言語によってのみ意思の疎通は為されているのでは無い,という事にもなる.自分の意思さえもある程度は相手の言語量に支えられているのである.

例えば,店で何かを買った際,店員に「領収書を下さい.但し書きは品代で,宛名は前株で○○工業」などと言った程度で伝わってしまうのは,既にその店員が仕事柄「領収書」・「但し書き」・「品代」・「宛名」・「前株」などという単語を,また領収書発行という手続き・よくある社名のパターン,などを熟知しているからに他ならず,100%音声を耳だけで正確に捉えているわけでは無い. 従って,上の会話中にある「○○工業」の「○○」だけは聞き取れない事も多い筈だ.

これらの話を総合すると,上の「言語データベース」が貧困な人は,会話中,聞き取れない言葉や,単語の聞き間違いが当然多くなることになる. 私が「アルサロ」を聞き取れなかったのも,脳内のデータベースにその単語が入っていなかったからに他ならない. 会話や音声の受信というのは,その人のボキャブラリーによって精度が変わってくるのである. 詰まるところ語彙って大事だ.語彙が貧困だと,世界観そのものが雑になる.


2/7(木)

昨日の続き(スチール撮り).写真は片飛鳥. 何やら今回は背景紙がカラフルでした.

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下は影山リサ.昨日の上がりは追々,ジャケとかそういう形で公開して行きます.多分.

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そういえば,カメラマンさんのところの娘さんが今年高校受験とのことだ.他所の子は成長が早いと言うが,全くだな.ついこの間まで小学生と思っていたのに.


2/6(水)

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今日は雪の降る中,朝からスチール撮りでした. とはいっても,撮影用の衣装は今のシーズンを想定したものばかりではない(薄着もある)ので,スタジオの中はかなり暖かい.お陰で私などは眠くて仕方がなかった. 以下,撮影の様子を一部UP(下は広瀬沙希).

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佳乃.近いうち(多分春頃)に新しいタイトルを作る予定で,そのジャケ写用の撮影でした. 疲れたので,残りはまた明日以降に上げます.

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2/5(火)

寒いと思ったら雪まで積もっていた. 先週末からずっと編集作業をしていたお陰で,随分と仕事も捗りました.今溜まった作業が一段落着いたら一休みしよう.


2/3(日)

神田優花,先週は歌録り. 先月末に録っていたある曲があって,そのレコーディングの続きでした. 本来なら一旦その曲のレコーディングは終わっていたのだが,私が急にメインのボーカルパートをダブルにしたくなって,それ用のテイクを追加で録ることになってしまった.

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2/2(土)

影山リサ.先週録ったテイクにちょっとした不備があって,今週は同じ曲を部分的に再録音してました. あと,これは予定外だったのですが,今週急遽新曲もレコーディング. リハーサルの調子が良かったみたいなので,そのまま歌録りに入ってしまいました.

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2/1(金)

今週のスタジオでの写真. 今日は時間がないのでコメント無し.

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1/31(木)

もう一月も終わりか.というよりまだ正月だったことが驚きだ.

最近このページの更新が滞りがちなのだが,別にさほど忙しいわけではない.かといってヒマなわけでもないが. 前にも触れたことがあるのだが,ここの更新頻度と仕事の密度って,全然相関関係にない. 仕事が無くて閑過ぎたら無論ネタ(情報)が減ってくるだろうし,忙し過ぎてもテキスト打ってる暇がない. またリリースやライブイベントなど,情報の質によってはその「解禁日」みたいな制約があって,こっちの裁量だけで公開出来なかったりもする.だからインフォメーションの時期と制作・準備段階の繁忙期にタイムラグがある事が多い. ここ最近は,相変わらずずっと音作りばかりやってます.


1/28(月)

音楽が売れる為に必要な条件は,世間にそれを受容する素地,要は「リスナー」が育っていることである. リスナーという土壌無しに,いくら良質な音を作ろうと商売にはならない.音楽というのは物によって,それを理解・体感する為の段位みたいなものが必要なのだ.

江戸後期の話である.「日本外史」(頼山陽)という書物が,一説では大体20万部ぐらい出回ったと言われている(そんなに正確な統計など無いだろうけど).当時の日本の人口が2千数百万人(しかもその8割は農民)なのだから,まさに大ベストセラーといって良い. この数字だけでも,その時代の地熱を推し量るよすがにはなる.

上のベストセラーを支えたのは,いわゆる書生,読書階級といった人たちなのだが,驚くべきは江戸末期にそれだけの読書階級が存在したということだ(識字率など,当時の日本は世界最高水準であったろうと思われる). 結局この層が存在しなければ,ベストセラーなど生まれようがない. 因みに,江戸期に存在した彼ら書生達の主な収入源(アルバイト)の一つは,写本(筆写した本を売ること)であった. 著作権の概念など無い時代の話だが,現代で例えるなら,ダビングした音源を売っていたようなものだ.

日本のメーカーその他権利団体は,音楽CDの複製やP2P(ファイル共有)といった,いわゆるイリーガルコピーにハッキリと反対を表明しているみたいだが,現在結構な隆盛にある動画の投稿サイトというヤツに対しては,どのような見解を持っているのだろうか.私などは,あれが音楽シーンを盛り上げる起爆剤になるのではないかと期待してしまうのだが,あれ(動画投稿)も広義のコピー行為には違いないので,少なくとも好意的ではあるまい.

私は子供の頃,友達やレンタルショップから借りた正規音源などを,よくカセットテープにダビングしていた.月の小遣い2〜3千円の小・中学生に一枚三千円のアルバム(正規音源)は高価過ぎて,そんなに簡単には手が出せなったからだ.CDなどを大量に買い出したのは18〜19歳ぐらいの頃からだろうか.

「ダビングしていた」と堂々と述懐しているが,これも厳密には立派な違法行為である.しかしあの当時,「音源は全て正規品を買え,コピーなど絶対にしてはならない」と言われていたら,こんにち音屋としての私は,おそらくいなかったろう. 昨今,CDは日を追う毎に売れなくなっているという.代わりに「着うた」等のダウンロードコンテンツの売上げは伸びているようだが,きっとCD売上げの減額を賄うほどではなかろう. しかもダウンロードコンテンツには色々と細工が施してあり,大多数の一般消費者にとって,そのコピーは容易でない. 事実上,「一リスナーにつき一点の正規音源を買わねばならない」状況になりつつある.

幼少期に読書の習慣を持たなかった者が,大人になって経済的・時間的余裕が出来たからといって,突然「読書人」になる可能性は絶望的といって良いほどに低いと思う.音楽も然り. 今の日本では,音楽が急激に売れなくなっている.「カジュアルコピーの排除」が,その現状に追い討ちをかけはしないか心配だ.


1/27(日)

土日も休まず編集作業中. どうも先週録ったテイクに不備があったようで,近い内にまた録り直さないといけないみたいだ.たまにこういう事もある.

編集作業は面倒臭いのだが,嫌いではない.しかし,もう少し作業時間を短縮できないものか,とは思ってしまう. 例えば,編集ソフトで一つのコマンドを処理する際に掛かる時間なんかは,完全に技術(コンピューターの演算能力)の問題で,将来的にはもっと短縮出来る筈である. この手の処理に時間が掛かってしまう理由の一つとして,私の編集環境(使用マシン)が現時点で見てもロースペック過ぎるからというのはある.しかし,現行の民生機最強クラスのツールを揃えたところで,例えば,現在一つのコマンドの実行に1〜2分掛かっているところが1秒に短縮される,なんてことはまず無い.せいぜい所要時間半分にでもなるだろうか. 確かに半分にでもなってくれれば有難いけど,その為に何十万とか使う気にはなれないので,今のところ我慢してます.


1/26(土)

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神田優花,新曲の歌録りでした. 今回,コーラス録りにステレオマイクなんてものを使ってみました(写真には無いけど).

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影山リサ,こちらもレコーディング. そういえば最近,フィルター(ポップガード)を変えた.前のヤツ,蛇腹がヘタってきてたんで.


どうでも良い話. 私は全くと言っていいほど料理を作らない.食事は外食が多いのだが,よくメニューなんかに「当店の人気ナンバーワン!」などと謳ってあるのを,つい最近まで真に受けていた. 要するに,店が全てのオーダーを集計し,詳細なランキングを作成しているものだと思い込んでいたのだ.だからして,「当店の人気ナンバー2」の商品を私が注文しまくったら,いつかは「ナンバーワン」が入れ替わったり,不人気商品などに注文が短期間で集中したら,その商品はランキングを赤丸急上昇したりするものとばかり思っていた. まあ冷静に考えたらそんなわけないな. 本当に人気メニューでぐらいあるのかもしれないが,要するに「お薦め商品」って意味だということに最近気付いた.


1/25(金)

今週スタジオで撮った写真.

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下は佳乃,今年初めてのスタジオ入りでした.去年の暮に録った音のマスタリングをチェックしてました.

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1/24(木)

話の性質上,ここで内容を詳細には明かせないのだが,ここ暫くの間,今年のリリースタイトルについて色々とミーティングをしていた. 少しこのページの更新間隔が空いてしまったけど,普通に仕事はしてました. それにしてもここ何日か寒いですね.東京は雪まで積もってましたけど.


1/21(月)

某TV番組で「コトドリ」の特集があったそうな. コトドリとは,オーストラリアに生息する鳥類なのだが,その特技は,信じ難いほどの精度での擬声である. まあ興味のある方は調べてもらいたいのだが,今回のテーマはそこではない. コトドリは擬声も達者だが,本来の鳴声も美しいという. 番組中,ナレーターが「物真似の上手い人は歌も上手である」というような事を言っていたらしいのだが,その台本を書いた人は,「歌」を良く理解しているものだと感心してしまった. 御説の通り,物真似の上手い人は歌も上手い.

物真似というのは,単に既存楽曲の歌詞やメロディーを復唱するだけでなく,歌い手の発声法や細かい癖をも再現するという事だ. そんな事が出来るならそりゃ歌も上手かろう. 物真似を得意とするタレントなどが,物真似をする際,顔までコピー元に似せていたりするのだが,これも当然である. 発声の癖は,体型・骨格などといった本人固有の条件から生まれている部分が大きいからだ.顔を似せた方が歌も似るに決まっている.

ウチは,(歌い手さん向け)レッスン用の課題に「物真似(歌真似)」を取り入れている. 上記のような理由から生じたカリキュラムなのだが,歌をやる人なら,本当に「物真似」って結構為になると思う.


1/20(日)

ウチが作っている録音物,とりわけヴォーカルパートの声部について. 録音物と一口に言っても,その趣旨によって千差万別,声部なんかも一〜十数パートぐらいまでと,かなりマチマチである. それ以上のもの,例えばゴスペルとかクラシック系の合唱みたいなものは,まだ録ったことがない.需要そのものがあまり無いから. しかしああいうのはオーケストラみたいなもので,まさか一人づつ別々に録るわけではなし,マイクの数なんかもそんなに要らない. 基本的に演者の能力に委ねる部分が大きく,エンジニア側としては比較的楽な仕事かもしれない. 細かい補正なんてしようも無かろうから.

POPSでやたらパート数(声部というよりトラック数)が多いもの,これは大変だ.各パート毎に一々編集を入れねばならないから. 皆さんが普段聴いているPOPSも,実は結構ヴォーカルのパート数だけは多かったりする(無論ものに因るが). 主旋律+一・二声ぐらいの比較的シンプルに聞こえるコーラスアレンジでも,あるパートをダブルで録っていたり,色々と隠し味的なパートを挟んだりしていたりするので,実は十数トラックぐらいは使っていたりする. ちょっとしたオブリガートでも入ろうものなら,さらにトラック数は増える.

以前,他所さん(音楽制作会社)のサイトにあった料金表を見ていたら,ヴォーカルパートの補正は,1トラックにつき三万強とあった.十数パートなら,それだけで四十万くらいは軽く掛かってしまうという事だ. 実際にかかる手間を知ってしまっているこちらとしては,そのお値段も強ち不当とは言い難い. パート数の多い曲の編集だと,本当にそれだけで丸々一週間ぐらい拘束されてしまう事もあるのだ.

たまたま今日は,割と声部の多い曲を作っていたので,上のような事が頭をよぎってしまった. また曲作りに戻ります.


1/19(土)

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影山リサ,今週は新曲の最終リハでした.来週は歌録りです. 影山リサは近々スチール撮影の予定で,今週はその衣装チェックもしていたそうです.下はその時の写真.

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神田優花.スタジオにて,こちらも新曲の最終チェック. 来週は2曲レコーディングの予定です.

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1/18(金)

今週スタジオで撮った写真をまとめてUP.

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私は,購入後ゆうに10年以上経過したような,年季の入った機材を未だに使っている.バリバリの現役でだ. 昨日も学生の頃に買ったシーケンサーを使ってトラックを作っていたのだが,フロッピーディスク(しかも2DD)にデータをバックアップしようとしたら,ドライブがディスクを全く読み込まない事に気付いた.フロッピーもこれまた10年以上前の骨董品ばかりなのだが,取っ替え引っ替え10数枚のディスクを突っ込んでみても,ことごとく読み込めないので,どうやらドライブがいってしまったらしいと先ず思った.

マニュアルを引っ張り出してきて,巻末にあるメーカーのサポートダイアルに電話してみる. が,電話した先は既に別の企業になっていた.記載されている情報が古過ぎて,番号が変わっていたのである. その後,なんとか製造メーカーには繋がったが,その機材について詳しい者がいないらしく,マニュアルに記載された内容レベルでの回答は出来るが,それ以上は無理との事.実際電話口で話している相手も,あきらかにその機材について不案内で,10数年使い続けている私の方が,ある意味では詳しいのではないかと思うぐらいだった. しかしまあ,たかがその程度の昔(僅か10数年前)にリリースしたものなのに,現時点でもうこの状態.企業の新陳代謝は早い.

結局サポートは何の足しにもならず,紆余曲折の末,自己解決した. 結論としては,ドライブではなく,メディアの不良だったらしい.フロッピーをフォーマットしまくったら,だんだん使える(読める)ようになってきた(一部は完全に再起不能になっていたが).しかし殆どのディスクがいきなり全滅状態になるなんて,何が起こったんだろう.


1/17(木)

十代の終わりぐらいの頃,よく聴いていた音楽の一つに「Nirvana」がある.「Devo」も「Vaselines」もNirvanaを介して知った(両グループの作品をNirvanaがカヴァーしている). 特にVaselinesなんて,Nirvana無しに膾炙することなどあり得なかったような無名グループで,KurtCobain(Nirvanaのヴォーカル&ギター)が存在しなければそのまま歴史の中に埋もれていたろう.

今になって思うのだが,KurtCobainは,ミュージシャンであったのと同時にリスナーでもあった.当たり前の話なのだが,その平明な事実にあらためて感じ入ってしまう. やはり音楽好きが高じて,模倣(カヴァー)までしてしまうような人だからミュージシャンになるのだろう.


1/16(水)

とある女性タレントの話. ここ最近,売りに入っていると思しきタレントさんで,CMなんかもボチボチ取り始めていると見えて,もうその存在も世間にかなり浸透していると思われる.私が知っているぐらいなのだから. そのタレントは外国人で(正確な国籍など知らないが),見た目もそのように見える. で,そのタレントさん,いわゆるタレントグッズの一つとして,音(CD)も出しているのだが,今回その歌についての感想.

まず,音(サウンド)に関して言えば,気合の入った(身も蓋もなく言えば金の掛かった)企画なので,当然ながら音周りも丁寧に作られている. 歌に関しても,当然しっかりした環境で録られている上,補正・編集も入念に施されているであろう代物なので,音源レベルでの明らかな不具合も,ちょっと聴いた限り見当たらなかった. ただ一点,気になった箇所がある.それは「歌心の無さ」である.

日本語圏の人で無いので,おそらく日本語がほとんど,あるいは全くといって良い程喋れないのだと思われる. だからきっと,自分が何を歌っているのかよく理解していない.勿論単語だとか,センテンス単位では意味を理解していたりもするのかもしれないが,歌詞のストーリーというか,全体像としては把握できていないのではなかろうか. 例えば私が,全く分からないスワヒリ語の歌を歌えと言われ,全部カタカナで書かれたスワヒリ語の歌詞カードを渡されたら,あんな風に歌うしかないような気がする.

洋楽(他言語による歌)なんかを聴いていると,歌詞の意味なんて全く分からないこともあるが,「彼らはきっと意味を歌っているのだろう」という事ぐらいは伝わって来る. 音楽鑑賞というのは,表現者の心を味わう事という側面もある.少なくとも私にとってはそうだ. だから上のようなことが気になってしまうのだろう. そのタレントは,心の動き云々以前に,それを触発するための言葉を与えられていない. 彼女が母国語で歌ったなら,きっとあんな風にはならなかった筈だ.

そのタレントさんは,今後も活躍される筈で,音もきっと出し続けるに違いない. 現時点の彼女にとっての至上命令は,「一刻も早く日本語に精通すること」に他ならないと思った. 日本語能力は,歌において顕著に表れてしまっているものの,演技やトークなどにも当然濃厚に表れる筈である.


1/15(火)

昔,あるアーティストが言っていたことである. そのアーティストは,「才媛」をセールスポイントにしているようで(露骨に「才媛」を謳い文句にしてはいなかったかもしれないが),若くして自分のレパートリーは,ほとんど全て自作しているという触れ込み(いわゆるシンガーソングライター)であった. とある媒体では自身の作曲法について語っていたようなのだが,それによると,彼女は「リズムボックスで」作曲をするそうである.

「?」となった人がいるだろう.ちょっとでも音楽を齧った人であれば,上の発言は先ず状況すら理解しかねるものだからだ.「リズムボックスでどうやって作曲するのか」と. 「リズムボックス」は本来商標(商品名)で,一般名詞ですら無いのだが,要するにドラムパートの自動演奏機のことを指しているのだと思われる.更には,リズムボックスなんて言い回しが,ハッキリ言ってそれ程ポピュラーでない.リズムマシンとかドラムマシンとかいう方がまだ一般的だと思う(いずれにせよ,日常生活においては必要のない知識だが).「ヘッドフォンステレオ」を「ウォークマン」と言っているようなものか.あるいは本当に商品としての「リズムボックス」そのものを使っていたのだろうか. それにしても上の発言は,「メトロノームで作曲してます」とかいうぐらいに不自然なコメントだ. 想像するに,彼女やその売り手サイドは,自作の「鼻歌」を歌うことを「作曲」と言っていたのだろう.きっと鼻歌のバックに,リズムマシンを鳴らしていたことでもあったのに違いない. 謳い文句である「才媛」を成立させる為に,周りの大人達は随分と骨を折ったのだろう.察するに余りある.

私は仕事でだが,渡された鼻歌(のみが録音されたデモ音源)を採譜し,コードを付け,時には編曲までして,一曲に仕上げるような事がある. 概ね回ってくる音源の録音状態は悪く,また無伴奏の鼻歌というのは,そもそも雑音・倍音(フォルマント)だらけの上,楽器などに比べれば大抵音程が安定していないので,採譜も難しい.ところどころ,歌っている本人でさえ音程・リズムの想定が曖昧な部分などもあったりする.そういう場合採譜者(このケースでは私)は,適当にメロディーラインを斟酌しつつ譜面を作っていく. メロディーなんてまだマシだ.鼻歌である以上当然和音は出せないので,コードなどは端から付いていない. 物理的にコードを付けられないから,付けていないというより,コード指定という発想そのものが,歌っている本人のアタマの中に無いケースさえある.そういう時も,メロディーラインからこれまたコード進行を推量していくことになるのだが,しかしまあ殆どの曲は,何らかの既成楽曲を下敷きにしたトレースみたいなものなので(特にこういうケースでは),大掴みなコード進行を推測するのも割りと容易い.

元の話に戻る. 才媛で売ってるのに鼻歌じゃあんまりだが,かといって実際に弾ける楽器があるわけでなし,適当なカタカナの器具名が欲しかったのだろう.しかし「リズムマシン」じゃ世間に膾炙し過ぎていて,朧げにでもそれがどんなものか想像できる人間の数が多く,従って「それで作曲しています」が,いかにも意味不明,あるいは詭弁・ハッタリだと捉えられる危険性が高い(事実そうなのだろうが). だからちょっとだけマイナーな「リズムボックス」なんて用語を引っ張り出してきたのだろうか.これなら大多数の一般人は意味が分からないので,「何だか知らないけど小難しい機材を使いこなせるのだな」などと羨望してくれるかもしれない,と思ったとか.

私は上のアーティストやその売り手陣を小馬鹿にしたいわけでは全く無く,「物を売るって大変なのだな」とつくづく感じ入っているのである.上のブラフの手法には学ぶべき点も多く,そういう意味では寧ろ尊敬すらしてしまう.


1/14(月)

影山リサ,先週のリハーサル風景.

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リスナーとしての私は,音楽を純然たる「娯楽」と捉えているので,趣味性の刺激ぐらいしか本来求めていない.とは言うものの,実際その「刺激」を十分に感じられる音楽作品など極めて稀なのだが. 「音楽が娯楽だなんて当然」なのだろうか.

リスナーの中には偶に,「聴いてきた音楽の絶対量」を誇る人がいるが,個人的にはイマイチその心境が分からない. 私は精神世界を豊かにする為にも,最低限「文化としての音楽」についての嗜みはあっても良いと考えている. また,音楽家などを目指す人は,過去の名作にある程度は触れておいて然るべきだとも思う.純粋なリスナーとしても,下敷きとなる音楽知識がなければ,本質的に楽しめないような音楽作品も確かににある. しかし聴いてきた音楽の絶対量が,音楽家,あるいはリスナーとしての優劣に単純に帰結するなんて事は無い.

音楽を娯楽でなく,「教養」として捉えてしまっている人がいるみたいだ. 確かに「好奇心に駆られてやる学問」もあれば,「親や先生にやらされる勉強」もあり,両者は一見区別がつき難い.後者を「親や先生にやらされる」と表現したが,実際には,「世間」という共同体にさせられていると言って良い. 世間が無ければ,マナーも教養も学歴もヘッタクレも無かろうから.

「この音楽を聴いていれば周りからカッコイイと思われる」とか「教養としてこの音楽を聴いておかねばならない」とか,そんな心理の対象として崇められる音楽商品が存在する.人々のこの心理の最大公約数となるようなCDタイトルなどが出現しようものなら,日本のマーケットでは,しばしばそれが爆発的にヒットしたりする.海外は知らない.

私は,その音楽が如何に権威ある高尚なものだと説かれても,聴いてみて面白くなければ「つまらない作品」としか感じられない.歴史的意義とかそういうものを認めたとしても,音楽としての面白さを計る最終的なリトマス試験紙は自分の感性になってしまう. 結局,能書きで音楽を聴いているわけでは無いみたいだ.

今回の話に,結論という程の結論は無いのだが,音楽ぐらいもっと気楽に聴けば良いのに,と私などはつい思ってしまう.余計なお世話だろうけど.


1/13(日)

片飛鳥,先週のスタジオでの写真をUP.

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マンガ・アニメ,テレビ番組等々,子供を対象としたコンテンツは山ほどあるのだが,当然ながらそれらの出来には差がある. ざっと見渡した限り,名作とされているものには,事実優れた作品が多いようだ.

私がそれら(子供向けコンテンツ)の優劣を測る際の基準の一つは,生々しさ(リアリティ)である. その作品に登場する子供が,どれだけ「本物の子供」であるかどうかだ. 大抵ああいうものの作り手は大人であったりするのだが,どんな大人だって過去には子供を経験しているにも拘らず,多くの人はその時の気持ちを忘れてしまっている.概念化された「子供」が一人歩きしている状態,とでも言おうか. 登場する子供が,紛れも無い大人であったり,あるいは子供であり過ぎたり.極端な場合,天使にさえ美化されていたり.

名作を残せる人は,子供の頃の気持ちを生々しく心に宿しているのだろう. だからこそ「子供」が描ける. 表現者になる人は,その時々に感じた「心の動き」を忘れないようにしましょう.私もそう心掛けています.


1/12(土)

神田優花,今年一発目のスタジオ入り. 昨年末に録った新曲のチェックをしてました.

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昨日,打ち込みと生演奏について色々と述べたのだが,その追記.

浮世は不可解だ. ドラムを録音する際,スネア用に立てたマイクには当然キックの音も混ざり込んでくる.逆も然り.これらを専門用語で「Leakage」などと呼んだりもするのだが,こんなもの,マイクが拾ってしまうから仕方ないだけのもので,本来の録音の趣旨から言えば,入らないならそれに越したことはない目的外の音,いわば「雑音」である. しかし現行のハイスペックなドラム音源は,わざわざそのLeakageをシミュレートしていたりする.特段の技術に因るものではなく,単にサンプリング(サンプルの絶対量)で対応しているだけの力技といったものに過ぎないが. 結局そのLeakageという雑音部分によって,生っぽさを体現しているのである.やや滑稽に見えなくもない.

ピアニストは,如何に「ジャストなリズムで」また「決まり通りの安定したヴェロシティ値(タッチの強度)で」演奏するか,に執心するわけだが,その一方でマニピュレーターは,如何に「人間臭くリズムを狂わせるか」や「ヴェロシティ値を適度にバラつかせるか」に執心していたりする. これまた奇妙な話だ.

結局,異常に生音に拘る人の一部は,それが「心の問題」になっているのかもしれない. 幽霊が存在するかしないか,とかいうのではなく,もう幽霊が見えてしまっているとか. こうなってくると話は変わってくるから厄介だ.別に悪いとか言うのでなく.


1/11(金)

打ち込み(シンセ音)と生楽器について. 私は自分自身でもトラックを作るので,当然サウンドプログラミングもすれば楽器録りもする.自身で演奏する事だってある. だから打ち込み派か生音派か,などと問われても「併用派だ」としか答えようが無い.しかし,「どちらか一方を必ず選択しろ」と言われれば,一も二も無く打ち込みを選ぶ.

今更だが,打ち込みって便利だ.S/N比は良いし,ピッチ・リズムは安定しているし,早い話制作効率が良い. 実際今のJ-POPの制作現場は,打ち込み無しに成立しなくなっている. 私が常日頃,常時バッキングトラック制作に使用する楽器群(最低でも4〜5種ぐらいか)の演奏技術を,録音に耐えうる水準で維持し続けようなどと思えば,日々どれだけの時間を練習に費やさねばならないだろうか. また「ここで○○(楽器名)の音が欲しい」などと普段扱わない楽器音を入れることになり,一からその楽器の演奏技術を身に付けなければならないとすれば,もうそれだけで年単位(下手したら10年以上)の練習期間は覚悟せねばならないだろう. 外から奏者を連れて来る事は無論よくある.各プレイヤーさん達は,その技術を維持する為の練習を日頃絶やさないわけだから,当然その時間相応の敬意(平たく言うとギャラ)を払ってしかるべきで,ブッキングの手間だとかを合わせて考えると,奏者を使う事は,物凄く制作のスピード・コストに影響する.場合によっては,やってられない.

「だって生演奏の方が音が良いじゃないか」という御仁もおられる. 音の良し悪しというのを,何をもって判断すべきかは難しいが,好みというのは確かにあろう. 知らない人の為に一応言っておくが,現在主流となっている,いわゆる「打ち込み」の音源方式は,PCM(Pulse Code Modulation)・サンプルプレイバックといって,事前に一音一音丁寧にサンプリング(録音)した音を,譜面情報に従ってつなぎ合わせ,発音させているのである.そのサンプリングも,音源による多少の違いはあるものの,ヴェロシティ(タッチの強さ)毎に数段階で行なっていたりと,そんなにいい加減な代物ではない. モノによっては,一つの楽器の音色だけでギガ単位のサンプル量になっていたりする. 早い話が,「打ち込み音」というのは,即ち「生音」なのである.

確かに打ち込みで作ったフレーズと生演奏に差異は存在する.ピアノなんかで言えば倍音の響きなどは違ってくるだろう. しかし「違いが分かる」と言っている人の大多数は,そんなことろに気付いているわけではない. むしろ演奏技術・録音結果の拙い部分を「生っぽい」と認識してしまっているケースが多いと思われる. 具体的に言えば,マイク録りの際に入ってくるノイズ・部屋鳴りとか(ライン録りだと入ってこない雑音),打ち込みの音そのものではなく,エディットによって出てしまう「打ち込み臭」とか,大抵その辺りで識別出来た気になっているだけだろう. 後者がやや分かり難いかもしれないが,例えば全ての音符を譜面通りジャストタイミングで発音させれば,そのフレーズは人間臭くなくなる(従って打ち込み臭くなる).何故かというと,人間はそんなに完璧なリズムでの演奏など出来ないからなのだが,それって言うなれば「拙い部分」であろう.無論,打ち込みでもエディットによって補完可能な部分である.

ギターやヴァイオリンなんかは,打ち込みで自然な演奏のニュアンスを表現するのが確かに難しい.マニピュレーターのテクニックによって,再現能力はかなり変わってくる. しかしそれとて,その再現性(リアリティ)の核になっているものの実体とは,ノイズであったり,ピッチ・リズムのズレだったり,演奏ミスだったり,要は「拙い部分」であるケースがほとんどだ.当然,その拙い部分を再現する事も,手間さえかければ可能である.単にそういった雑音をサンプリングしたり,細かいエディットでわざとピッチを狂わせたりできる.実際に練達のマニピュレーターはそれをやる.

私はその気にさえなれば,素人の耳レベルでは,まず生演奏との識別が不可能な「打ち込みを使った録音物」を作ることが出来る(打ち込み音と生音に本質的な違いなど無いのだから,当然と言えば当然だが). 「俺にその録音物のブラインドテストをさせてくれ」という人がいるなら,本当に素材を作ってやりたいぐらいだが,手間が掛かるので残念ながら無料ではやれない. また,「どうやったらそんなモノが出来るのか」についても,企業秘密なので,こんなところで詳細には明かせない.


1/10(木)

今日は編集作業やら来客やらで結構タイトな一日なのだが,ちょっと時間が空いたので更新してみる.


先日,とある企業サイトのオーディション関連情報のページを何気なく見ていたら,オーディション(デモテープ審査)に関するQ&Aのコーナーがあって,そこに以下のようなやりとりが掲載されていた. 実際は下のままの文章では無かったが,多少私の方でアレンジさせてもらった(あんまり出典を特定されてもマズいので).

Q.「審査基準に応募者のルックスは含まれるのですか?」
A.「ルックスが良ければいいというわけではありません」


上の回答は,一応企業としての良識を疑われない程度に茶を濁しているが,冷静に考えればアーティストを選ぶのにルックスが関係しない筈が無い(無論のこと,それだけが審査基準では無いだろうが).訊くだけ野暮ってものだ. 「就職に学歴は関係ありますか?」とかいう愚問に近かろうか. もし私が同じ質問をされたなら,「ルックスは間違いなく審査基準の一つです」と即答する.私は建前が嫌いだから.

「ルックスが悪いヤツは音楽なんてやめろ」などという乱暴なことを言っているわけでは無い. 私が言いたいのはそういう事ではなくて,演者のルックスというのが,音楽商品の一セールスポイントに確実になり得るものだという事である.普通の大人はみなまで言わないだけで,演者のルックス無しには表現できない音楽作品さえあると言って過言ではない. ルックスという武器を持たないアーティストでは,当然ルックスを盾に取った営業・企画が成立しないから,別の方法を考えざるを得ない.そしてその「別の方法」においても,程度の差こそあれ,ルックスの良し悪しはきっと影響してくる.

アーティストたる者,見栄えは良いに越したことないと思う.商品なのだから. 美が天賦のものであるという側面も勿論あると分かっているのだが,努力でリカバーできる部分は可能な限り磨いた方が宜しいかと思います. とりあえず今日はここで終わる.


1/8(火)

高価なブランド品,例えばchanelのバッグが30万円するとする.そういったものを求める人の大多数は,それが30万円で,然るべき場所に物々しく飾られているからこそ欲しいわけであって,商店街の店先のワゴンに山積みにされ,500円で叩き売られていたら,品質云々以前にきっと欲しくすらならない. 一方,安いからこそ売れてしまう物もある. 私は何年か前,仕事場の近所に昼飯を買いに行くときなどに履くためのサンダルを買った.駅の近くの某アパレルショップ(名は伏せる)で,確か500円くらいにてそのサンダルは売られていた. 私はそのサンダルが3千円でもしようものならきっと買わなかっただろう.

chanelがもし本気で500円のバッグを販売しようと思ったら,原材料やその入手経路,売り子や店舗の質を今とは大幅に変えなければならない筈で,要するにこんにちのchanelというブランドは成立し得ない. 事実,私の買ったサンダルは,壊れてしまって今はもう無い.不良品だったわけではなく,単に価格相応の品だっただけである. chanelは,自社が販売するバッグのその30万円という値段を,誰かにつけてもらったのではなく,ある日自らその値を謳った.だからこそこんにちのchanelがある.

上の話が,音楽だとかと何の関係があるのか,と思われるきらいもあるだろうが,無論関係ある. 自分,あるいは自分の技術の値踏みは,誰よりも先ず自らせねばならい,という事を言いたかった. 自分が自らを「安物」だと規定すれば,その値段に引き摺られて本当に安物にしかなれないと思う. 「いずれ誰か偉い人が,私に高値をつけてくれる」なんて夢のような話はおそらく無い.

安物屋が悪いというのではない.安物にも無論需要があるのだろうし. しかし,私がサンダルを買ったその店がchanelになろうと思い立てば,サンダルの値段を100倍以上にしなければならないかもしれない. 当然今までの顧客の大多数は離れていくだろうし,「この程度の店が,柄にもなく大層な値をつけやがって」などと陰口を叩かれるかもしれない. でも自らその値を謳い出さないと,将来その100倍を越える金額を払いたくなる客もきっと現れない.


1/7(月)

仕事再開してます. 結局一週間ぐらい休んだのだが,たかが一週でも,現場を離れるとその分勘は鈍るものですね. というわけで,また今から溜まった編集作業を片付けに入る.


1/6(日)

昨年末,某誌にてオーディションの告知をしていたのだが,結局採用者0名だった.去年は通算でも一人も採らなかったことになる. 私としては,もっと多くの人に来て欲しいと思っているし,事務所としても,本来「人」こそが資産となるところなのだが,やはり人を一人採るというのは大変みたいだ.

過去にも何度か触れたのだが,この手の審査とかそういうのに関して,私はノータッチである.基本的には結果だけ後から知ることになるのだが,別にそれでいいと思っている.私は人を選んだりする才能も無いし,今現在の基本的な役割(注文に応じて音を作る)にも満足しているので. それはさておき,他所の事務所(レーベル)さんとかって,年間どのくらいの人を採っているのだろうか.ウチみたいな小さいところは,分母(応募総数)自体も大したことないのだけれど,一次審査(書類選考)の時点で,通過者はごく少数になる.ぶっちゃけて言うと,一度のオーディションにつき,せいぜい一次選考通過者一人二人とか,場合によってはゼロの時もある. 何故かと言うと,大きな事務所さんみたいに,大量の人間の歌唱審査・面接等を一々行なえるような時間も場所も人も無いから,というのが実情である(念のため言っておきますが,書類・デモテープの選考は,一つ一つかなり入念に行なってます).

結局,自分のところでアーティストを採るとなると,少なく見積もっても年単位の時間を掛けて育てなければならないし,ハッキリ言ってその間ほとんどお金にもならない.だからして,詰まるところ軽々に人を採れない. ウチみたいなところは,さる御大尽の御息女様とか,そういう人の道楽の下請け業をやっているわけではないので.この辺,辛いところだ.


1/5(土)

こんな時期に読んでる人も少ないだろうし,まあいいだろうけど,やや更新間隔が空いてしまった. 本当に報告すべきことが何も無いのだ.仕事してないし. 週明けぐらいから仕事始めって会社は多いと思うのだが,一応ウチもそのぐらいから業務開始の予定です.


1/2(水)

今年の予定について. 去年の後半以降,特に年末あたりは,他所さんから依頼された音作りが忙しくて,ウチのレーベルからのリリースが等閑気味になってしまっていた.今年はもっと精力的に音を出して行きたいと思ってます.ご期待下さい.


正月休み中ヒマなもので,近くのショッピングモールに行っていた. それにしてもあの「福袋」というヤツは何なのだろう.私は全く購買意欲をそそられないのだが. よく「あれは単なる在庫処理だ」などと揶揄されたりするのだが,私は自分にとって必要なものが安く手に入るのなら,それが店側にとっての在庫過剰品であったとしても,別にそれは構わないと思う.私があれに惹かれない理由はそんなところではない.

福袋は,購入代金より額面上高価なものが中に入っていたりすることが,その魅力の一つであるらしい.馬鹿らしいことだ. 例えそれが世間で高価だと言われているものだったとしても,自分が欲しいと思ってすらいないものを手に入れてどうする気なのだろうか. 本当に欲しいものがある人なら,福袋なんかに魅力を感じないと思うのだが,どうなのだろう.


1/1(火)

一応言っておきますかね. あけましておめでとうございます.

ステレオ録音用のマイクの使い方を考えていた. 楽器録りのことはさておき,ボーカル録りにどう活用しようか考えているのである. というのも,一般にPOPSなどでは,歌をステレオで録らないのだ.歌(ボーカル)って言わば主役で,基本的にはセンターに定位させるものなので,モノラルの方がその用途に向いているのである.もっといえば,あまりステレオで録るべきものでは無い.

だったらステレオ録りなんてしなきゃいいだけなのだが,せっかくだからやりたいのだ. とりあえずは手始めに,コーラスをステレオで録ってみようなどと思っているのだが,他にも良いレシピを知っている人がいたら教えて下さい.


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