Staff diary  
業務日誌[2007]

[文 / 益田(制作)]

6/30(土)

月刊Audition8月号にウチのオーディション情報(アーティスト募集告知)が掲載されます. 確か今日が発売日になっているので,もう書店には並んでると思われます.音楽・歌が好きな人,是非エントリーしてみて下さい.


6/29(金)

神田優花,今週は新曲「In the wind」の歌入れでした. 何だか前の曲(「Stars」)が大変だったので,今回のレコーディングは拍子抜けってわけでもないのですが,割と気楽に臨めました.この曲は次のアルバムに収録予定です.

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未編集の音が溜まっているのだが,今日も午後から外回りで,編集作業に手が付けられそうに無い.今週末はまた休めないな. 因みに今日は渋谷に出るのだが,考えてみると最近やたら渋谷に出る機会が多い.何か面白そうなところ知ってたら教えて下さい.


6/28(木)

今週スタジオで録った写真をUP. 佳乃(Photo2)は2曲もレコーディングしたのですが,写真撮るヒマが無くて,歌入れのカットは無し.

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6/27(水)

ここ暫く,今年の年末から来年のアタマぐらいに掛けてのリリース計画を練っている.まあそんなにシビアなもの(企画)では無く,おぼろげながらといった状態だが. 今週も歌入れが3件あって,その仕込みの合間を縫ってのこのテキスト打っている状態で,とにかく我々には,やりたい事がありすぎて本当に時間が足りない. というわけで,また仕事に戻る.


6/25(月)

「相談」に意味はあるか. 法律相談など,実務に関わる情報を得る為にプロの助言を請う,という事はそれなりに有益だろうと思うが,「人生相談」とかって果たして意味があるのだろうか.私は人生を相談しに行かないので,何を教えてくれるのか詳しく知らないが.

意味があるか無いか,というと論点がぼやけるな.単に話し相手が欲しいだけの人も当然いるだろうから. 私が疑問に感じているのは,人生を相談に行くような「迷える人」が,他人の忠告によってその迷いを克服できるのか否か,である.

私は「克服できない」と思う. 物事の答えって,常に自分自身の中にあると思っているから.それが例え「迷える人」だったとしても変わらない. 大抵の「迷い」というヤツは,自分の価値観とそれ以外の価値観との相克に因って生まれているわけだが,そういう状態に陥る人って,そもそも自身の価値観(欲求)そのものが希薄であるケースが多い. そういう人が他人の助言によって,渋々何らかの選択をしたとしても,迷いの元凶となっている「欲求の希薄さ」自体は,手付かずで残ってしまっているのだろうから,実のところ何の解決にもなっていない.

結局「迷える人」というのは,他人や世間で支配的な価値観に抗えるだけの「自分の欲求」が持てないわけで,欲求を持たせてやる事が出来ないのであれば,進むべき道を教えてやることも難しいだろう. 私は常々「人は好きな生き方を選べば良い」と思っているが,「好きなことが無い」と言われたらどうしようもない.

恋人との関係を長続きさせるには,婚姻関係を長続きさせる(離婚せずにいる)には,相手に対する愛を持続させるには,詰まるところ,本当に好きな相手を選ぶぐらいしか方法が無い,というのと同じなのではなかろうか. 好きな相手がいない(人を好きになれない)人に助言などしようが無い.

因みに,私自身は日常生活において迷う事などほとんど無い.政治的な意味での妥協点を巡って手間取る事や,情報が不十分で判断しかねる,という事態なら日常茶飯事だが,基本的にそれは迷いとは違う. あ,でも,外で食事を取る時などに,何を注文するか迷う事ぐらいならよくあるな. 結局「大事の思案は軽く」という事ですかね.


6/24(日)

影山リサ,先週のスタジオでのカット.

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以下,いつもの無駄話.

稀に,子供の頃の記憶をほとんど持たないも同然の人が存在する.その時間に間違いなく生きていたし,その瞬間毎に何かを感じていた筈なのに,感情を伴った記憶,という形で集積させていない人のことである.言い換えればそれは,感傷を心に留めておけない,ということだ. 何故そのようになってしまうのか.詰まるところそれは,その人の言語量が不足しているからに違いない. 私は何でもかんでも「要は言語」という結論に達してしまいがちなのだが,本当にそうなので仕方ない.これには自信があるのだ.

言語能力が足りなければ,科学的・論理的に世界を捕捉することが出来ず,当然自己(これも世界に含まれる)の把握も十分に出来ない. 文学は無論のこと,芸術作品に感動など出来る筈も無く,周囲の配慮(愛)を敏感に察知したりも出来ない(餌を与えてくれる人に懐く,というのは愛と呼べない). そして,感情を伴わない記憶は簡単に消失してしまう. 言語能力の欠如は,極端なケースになると,自身の感情の所在をリアルタイムで認識できなくしてしまうかもしれない.

この世界という取り留めの無いもの,それを捕捉しているのは自分の中にある言語なのである.それ以外のもの,例えば映像や音楽などは,「記憶を喚起する」といった補助的な役割しか担えない. 自分の人生に単なる「履歴(記憶)」を残す事は出来るが,その履歴に感情という「血」を通わせる為のツールが「言語」なのだ.

ゴッホという画家は変わり者で,いわば一種の狂人なのだが,現存している膨大な書簡類を見るに,「言語力が不足した人」ではない.彼は様々な局面における「感情」を覚えていたからこそ絵が描けたのだろう.

いくら言語力が必要だからといって,幼児でもなければ,今更枕元で母親に言語中枢を刺激してもらうというわけにも行くまい.やはり読書ぐらいしか言語力を涵養してくれるものは無いのではなかろうか.あとせいぜい会話ぐらいだろうか. しかし,日本ではディベートなども今一つ習慣化されていないし(だから平然と非論理を撒き散らす人が多いのだろう),日常会話は深遠なテーマに不向きだとされているし,まあ話し言葉というヤツは基本的にいい加減なものだ.やっぱり読書だな.


6/23(土)

神田優花,新曲「In the wind」の最終リハでした.来週レコーディング(歌録り)に入ります.

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6/22(金)

今週のリハーサル風景. 佳乃,来週歌入れを予定している曲が二つほどありまして,それらの最終チェックでした.

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6/21(木)

先日収録されたWeb RADIO「音楽びと」(出演・影山リサ)の放送が今日から始まっているみたいです.よかったら聴いてみて下さい.

あと影山リサ「LUCKY STAR」について,色々と問い合わせがあるみたいなので,一応説明入れておきます. 今のところ当アイテムにつきましては,テストリリースというか,オンラインでの通販のみの流通になってます.今後,別の販路にのっける可能性はありますが,現時点では未定です.パッケージ物として流通させるより先に「着うたフル」などのダウンロードコンテンツとしてリリースする方が先になるかもしれません. まあ何にせよ,細かい事は決まり次第一々このサイトでもお知らせしていきますので,興味のある方は気長にチェックしておいて下さい.

余談である. あんまりピンと来ないかもしれないが,最近パッケージ物(CDなど)をリリースする事って本当に難しくなっている.何か特別障害になるような事情が存在するというのではなく,「配信(ダウンロード販売)」という従来のパッケージ流通に比べ,圧倒的に優れた販売手法が確立されつつあるからである.「難しくなっている」というのは,事務所的にやる旨味がなくなって来ているという意味だ. この手の話は何度もしているのだが,基本的に新人が出すアイテムで,尚且つ大したプロモーションもしていないような音源を,ショップに並べてもらうのは難しいし,わざわざ並べてもらう意味も正直言って薄い. もうウチは,ぶっちゃけて言えばCDなんて,どうしてもCD-DAの音質(44.1kHz・16bit・STEREO)で聴きたいという特殊な人の為にあるもので,一応通販か何かで入手経路を一つ確保しておけば十分だとすら思っている. 多分業界全体としても,そういう見解に傾きつつあるのだと思うが.


6/19(火)

新しい曲のオケ作りで,丸二日も使ってしまった. 今回特にリズムパートに時間が掛かったのだが,以下ドラムの録音について.

ウチはドラムの生録りを,その手間や掛かる経費諸々を勘案して,現状ほぼ諦めている. 殆どサンプラーだとかシンセで何とかしてしまっている状態なのだが,それにクレームを上げてくるお客さんも今のところはいないようだ. 音作りの依頼があった場合などで,是非生ドラムが欲しいという相手には「出来ないことは無い」と回答するのだが,その前に一応の見積りと仕上がりの差(サンプリング等との)を聴き比べてもらうようにしている.皆さん大抵「生である必要は無い」と判断されるようだ. まあ本当に出来ないことはありませんので,必要だと思われる方はご相談下さい.


6/18(月)

神田優花,先日歌入れした「Stars」の上がりをチェック. 下は先週スタジオで撮った写真.今月末には新曲「In the wind」のレコーディングに入る予定です.

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6/17(日)

それにしてもペプシのキュウリ味(最近そういう新製品が発売された)は不味かった.私は基本的に出されたものは残さないタイプなのだが,流石にあれは全部飲めなかった. 因みにそのキュウリ味,色はエメラルドグリーンの上,無果汁とのことである.ということは香料・酸味料入りの砂糖水に合成着色料で色をつけた物体なわけで,メロンソーダなんかとベーシックなつくりは同じ筈なのだが,私も歳を取ったせいか,食に対する冒険心が衰えているようだ. 子供の頃に出されていれば今でも飲めたかもしれないのに.


6/16(土)

影山リサ,新曲「CANDY POP」の制作に入ってます. 下は今週のリハーサル風景.

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6/15(金)

「Yahoo! JAPAN」がiTSと提携したらしく,TOPでもデカデカと告知を行なってますね.まあ売場が一元化されるのはそんなに悪い事じゃないような気がする. 既に神田優花は「Yahoo!ミュージック」でダウンロード物やパッケージの通販とか,色々と扱ってもらってたのですが,今回iTSと提携したことによって,鈴木サヤカの音源も「Yahoo!ミュージック」で表示されるようになった.少しでも多くの人の目に届けば喜ばしい限りです.


6/14(木)

神田優花「Stars」の試聴用MP3,上げてみました.ラフ・ミックスの状態ですが.

Stars」(MP3/0:43)

サンプル上げた直後にこんな事言うのも何だが,試聴部分の抽出作業の際に改めて曲を聴いていたら,Mixをやり直したくなった.まさに今,再編集している最中なので,この曲が商品化される際は上のサンプルとは微妙に違ったものになると思われる. 気になった(修正している)ところは,キックのボリュームとかハイハットのリバーブといった細かい部分なので,ほとんどの人には違いなんて分からないだろうと思いますが.


6/13(水)

先週末休めなかったからというわけでもないが,今週はアタマから丸二日ほど休暇を貰っていた.平日に休むのもたまには良いもんですね. というわけで,今日からまたいつも通りの仕事に入ってます.


6/12(火)

先週末からずっと編集作業漬けだったのだが,とりあえず神田優花の「Stars」のマスタリングは終了. あんまり神田優花が慣れないタイプの楽曲だったので,当初どんな仕上がりになるかと心配していたのですが,思ったよりしっかり出来ている. 因みに,この曲の処遇(単体リリース・アルバム収録等)は,依然全く決まっていない. 試聴用のサンプルも上げたいところだったのですが,時間が無くてこれまた作ってません.サンプルはいずれUPすると思うので,しばしお待ちを.


6/11(月)

結局,先週末から全然休んでない.いつになったら休めるんだ私は.

神田優花,先週は新曲「Stars」のレコーディングでした. 前々から分かってはいたのですが,あんまり神田優花がやらないタイプの曲なんで,それなりに苦戦しました. あと,「Stars」録り終えたばかりなんですが,神田優花は早速次の曲の制作に入ってます.今回のスタジオではその新曲のメロディーラインをチェックしてました.

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影山リサ,新曲の制作に入ってます.下は先週のリハーサル風景. 「LUCKY STAR」好評発売中です.こちらもよろしく.

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6/10(日)

「夢」について. 夢を問われた時,子供なら屈託無く「プロ野球選手」や「総理大臣」などと答えたりする.まことに微笑ましい限りである. 大学生に同じ事を問えば,「上場企業のサラリーマン」だの「公務員」だの「専業主婦」だのと答える人がいて,その人たちは周囲から「夢の無い人」だと評価されたりする.一方,夢の無い人より夢のある人の方が優位であるとする価値観だけは何となく世間に蔓延していたりするので,ある人は上の質問に対し「私の夢は小説家」だの「ミュージシャン」だのと,年齢制限のユルそうな(実際はそんなにユルくないが)職種を挙げてみる. 本来夢というのは一体何なのだろう.

「夢」というのは,少なくとも職業名のことでは無い.「医者」というのは夢ではなく,「病に苦しむ人を救いたい」というのが夢だ.夢とは「やりたい事」なのである.だからこそ夢を追求していく過程で,現場で直接病に侵された人を看るべきか,あるいは病の根本原因を絶つ為に学者になるべきか,といったリアルな選択肢も見えてくる. そして時には,夢を実現できた人に職業名が付かない場合だってあり得る. 子供が学校などで「夢を持って生きましょう」などと教えられたりするのだが,当の学校の先生ですら夢を「職業名」だと思っていたりする. 繰り返すが,夢とは「やりたい事」なのだ.

もっと言ってしまえば,本来夢とは「やりたい事=行為」ですら無いかもしれない. 私は,晴れ上がった空のように澱みない心で,迷いの無い気持ちで,日々を生きて行きたい.同時に,いつも未来に希望の光を感じながら時間を過ごしていたい. 究極的にはこの「気分」が私の夢だ.音楽云々ですら無い. 私を上の気分にさせてくれるもの,それが音楽制作であるに過ぎない. だから私は,きっとこれから先も音楽を作り続けるでしょう.夢に終わりが無いから.


6/9(土)

今週のリハーサル&レコーディング風景をまとめてUP. とにかく今週は色々録った.編集作業,来週中に終わるだろうか.多分終わらないな.

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佳乃,急ぎで歌入れしないといけない曲がありまして,その曲のオケ・譜面をチェックしてました. 今作ってるこの曲については,公開される日が来ても,おそらくウチのHPなどでは告知しないと思います.他所からの依頼なんで.

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片飛鳥,歌録りでした. 今回録った曲は,4月に一度レコーディングしたものだったのですが,どうもその時声の調子が悪くて,納得できるテイクが録れませんでした.で,今回再度の歌録り. 編集終わってみないと分かりませんが,前よりは良いものになったかと.

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6/8(金)

もう日付的には昨日のことになりますが,JETROBOT(CD通販サイト)さんのところで,影山リサ「LUCKY STAR」が発売されています.試聴なんかも出来ますので,是非チェックしてみて下さい.

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先週のスタジオで撮った写真をUP.上が神田優花,下が影山リサ. 今週のリハの模様は明日以降にでも上げます.

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6/7(木)

今週はレコーディングが多いので,仕込みや何やでスケジュール的にキツそうだと思っていたのだが,案外そうでもないな.


「愛」という言葉は元々古くからある日本語で,純粋な漢籍というより仏教書などを典拠としているように思われるのだが,「愛」が持つこんにちのイメージは,おそらく明治後のキリスト教的な価値観に由来している.そもそもの「愛」は,一種の執着として,ネガティブなイメージの言葉だったようだ. 歌の文句などにもよく「愛」がどうだのと謳われるわけだが,愛ってそんな至上の価値だったりするのだろうか.

例えば「婚姻」が愛を仲介に成立しているだけの関係であったらえらいことである.それって裏を返せば,愛が冷めたぐらいで破綻すると言っているに他ならないわけだから.ひょっとして,だからこそ離婚ってこんなに多いのだろうか.

私個人について言えば,現在の私を取り巻く人間関係は,「愛」などという覚束無いものだけを核に維持できているものではない(無論,愛が無ければコミュニティなど片時たりとも保てないだろうが). 愛などというより,もっとビジネスライクな「契約・約束」といった「信」に依存している気がする.一旦自分が口にした言葉である以上撤回できない,みたいな感覚である. 人がどうあるべきか,なんて私には分からないが,今の私とその周囲との人間関係の仲立ちとなっているものは,少なくとも「愛」だけでは無いな.


6/6(水)

何日か前のこのページで,「Perfect」(「Fairground attraction」)という曲の歌詞を一部紹介した.その歌詞の中に「second best」という表現があり,私はそのくだりを「次善」と訳したのだが,その「second best」について多少敷衍したい.

じぜん【次善】
最善に次ぐこと。最善とはいえないが、他と比べればよいこと。
「―の策」

国語辞典(三省堂)


「second best」を訳す際,これ以上適切な日本語は無いように思われるのだが,「次善」が日常語として定着しているとは言い難い.して,この度の敷衍に至る. 世の中には本当に欲しいものでなく,手の届く範囲にある「second best」ばかり掴んで人生を終える人も多い.一見,人は人生の局面毎に最良の選択をしているかに見えるが,実は,自分の欲しいものを自分の力で積極的に掴んでいく人など,もうそれだけで少数派に属する.

人は皆,自分の恋人を心の底から好きなのだろうか.「適齢期に偶々自分の傍に居て,尚且つ手に入りそうな人間の中で最もマシだった人」を選んでないだろうか.人は皆自分の一番やりたい事をやっているだろうか.いわば食う為だけに「地理的に許容できる範囲に勤務地のある,自分でも就けそうな職の中で,世間的な通りがわりと良く,給料もそこそこ貰える仕事」を生業としながら日々の大部分の時間を費やしていないだろうか. 私はそういう選択を「second best」と呼ぶのだと思っている.

私は,顔の良い人やお金をたくさん持っている人より「やりたい事がある人」が好きだ. 薄ぼんやりと「お金が欲しいと思っているだけの人」に魅力は感じないが,何かをやる為に「お金を手に入れようとする人」には魅力を感じる. 「あなたの夢は何か?」と尋ねられた時,弁護士や医者や公務員などといった「職業名」しか思いつかない人は,要するに「やりたい事が無い」のだろう.そういう人が金を持ったところで一体何に使うつもりなのか. そんな気分で金を持て余している人がもしいるなら,本当に私にくれないだろうか.私ならウチの音楽売る為に綺麗サッパリ使い果たしてやるのに.一円たりとも余さない自信がある.

私にしたって,音楽作品を作る技能があるから音楽屋をやっているわけではなく,作りたい音楽像がアタマの中にあるから,わざわざ音楽屋になったのである. 何よりも先ずやりたい事ありきで,その為に必要な技術を後から仕方なく身に付けただけだ. 作りたいものが無い人にどんな技能が備わっていようが,さしたる有用性もあるまい.欲しい物の無い人に金だけあっても無意味なのと同じだ.

音楽や芸能の世界には,稀に巨大な成功者が現れる. そういう人達は,当然の帰結として億万長者になる.ただ金が欲しいだけなら,その金をアメリカの銀行に預けて,後は金利で楽に暮らせる筈だが,大抵そうはならず,それらの成功者は概ね現役に固執する. 何故なのか.彼らは金が欲しくてその仕事をやっているのでなく,ただ単に好きでその仕事をやっているからに他ならない. そしてそういう人達だからこそ成功者になり得たに違いない.


6/5(火)

神田優花のセカンドアルバムの事でアタマが一杯だ. 音は無論のこと,ジャケ・宣材類のデザイン,更にはプロモーションのことなども.今回はPVなんかも作るかもしれず,作るなら当然それを絡めたプロモーションもやらねばならない.

マインドスケープ」は,神田優花のデビューアルバムだったので,良くも悪くもある種の甘えが許された. 次は「新人がデビューしますよ」というトピックスバリューも当然ながら無い.であるからして,あらゆるメディア・ショップ等は前回ほどにも好意的に扱ってくれないだろう. 飽くまで作品・楽曲の質,あるいは売上げなどの実績で認めてもらうしかない. どの道,神田優花という歌手にとっての大きな分岐点となる一枚になろうことは間違い無い.

そういえば神田優花については,先日のロケ(撮影)のレポートを上げてます.


話は変わる. 「あの時ああやっておけば,今頃自分は○○だったのに」みたいな悔恨の情にかられつつ生きている人がいるのだが,そもそもその後悔の原因となっている事実に対する認識自体正しいのだろうか.

結論から申しますと,残念ですが間違ってますな. 私は今の仕事をやるようになってハッキリ分かるのですが,人生における成功(何をもって成功と見做すかはさておく)を掴めるか否かを決する最大の要素となるのは,その人が持つ身体的条件などではない. 一般的に,耳(音感)が良かったり喉が強かったりする人は,歌が上手く歌えるケースが多く,顔の造作が整っている人は,周囲からそれ相応の好意的な評価にありつけたりする. しかし言うまでも無く,その歌唱技術やルックスを活かしてその道で商売をして行こう,という積極性無しに「プロ」は成立しない.

「あの時ああやっておけば」の「あの時」にやっていない時点で,その人は最も重要な適性に欠けていたと言わざるを得ない.その人がもし,ここで言う「あの時」に偶然何かをやれてしまったとしても,すぐに別の局面で挫折した筈である. 歌が上手い事より,美人である事より,自分に巡ってきた運を逃さない嗅覚や,上で言う「あの時」に全速力を出せる能力こそが,物事を掴んでいく為の資質だと思うのだが,どうだろうか. 現に歌の上手いだけの素人や精神の宿っていない美人など,世間には掃いて捨てるほどいるではないか.


6/4(月)

戦国期きっての智将と言われる黒田孝高は,いわゆる策士と呼ばれるような人物だったのだが,何故歴史に名を残すほどの慧眼を持てたのだろうか. 彼の事績を本などで辿ってみての,私なりの結論としては,主君に裏切られ,旧知の仲であった荒木村重に禁牢された挙句,それが元で半身不随となった経験が大きかったように思う(エピソードについて詳しくは調べられたし). 無論のこと,元より有能な人物であったのに違いないが,裏切られた経験から,他人に期待することを止めた事により,未来がより鮮やかに見えるようになったのではないか. 後半生の彼は,心の中で常に「人の心の頼み難さ」を痛感していたような気がしてならない.

物事に絶対ということは無いのだが,どうも未来というのも,ある程度は見えるもののようだ. 基本的に物事は,常識を持って推し量れば大掴みな観測ぐらい成り立つ.本来成り立つ筈のその観測を濁らせるのは,自分の中にある欲や願望なのだろう. 期待するから裏切られるというのは,お釈迦様に言われるまでのことでも無い.これは「人を見たら泥棒と思え」とか「性悪説に立て」というような話では無く,単に「物事は等身大に捉えるべき」というだけの事である. 私はこの文章を,半分以上自分への戒めとして打っている.

ギャンブル(競馬やパチンコなど)をやるとする.その賭けに勝つか負けるかなど私には分からない.賭け事なのだから当然勝ったりも負けたりもするだろう. しかし,「勝ったりもするが負けたりもする」という事は私にも分かる.更には「当面の賭けには勝ったり負けたりするが,長期的に見れば,胴元を養ってしまう程度には負ける」という平明な観測も成り立つ.「私だけは例外的に勝ち続けられるかも」というのは願望に過ぎない. 希望的観測に傾き過ぎるな,というのはペシミストになれと言っているのではない.物事を常識を持ってありのままに感ずる,というのはそれなりに楽しいことである.想像力は堅牢な現実認識の上で発揮するものなのだろうと思っている.


6/3(日)

影山リサ.先日,目黒で行なわれたWeb RADIO「音楽びと」の収録模様,レポートをUPしてみました.放送は今月21日(木)からだそうです.お楽しみに.


「Fairground attraction」という,80年代の後半に活動していたイギリスのバンドがある.僅か2年足らずの活動期間で,オリジナルアルバムは事実上一枚しか出していない. 私は子供の頃からそのグループがわりと好きで,よく彼らの音楽を聴いていた. その「Fairground attraction」に「Perfect」という曲があるのだが,以下,無断ながら歌詞を一部引用させてもらう(訳は勝手に付けた).

「Perfect」

I don't want half hearted love affairs
中途半端な気持ちの恋なんて私にはいらない

I need someone who really cares
私に必要なのは本当に好きな人

Life is too short to play silly games
くだらない遊びをしているほど人生は長くない

I've promised myself I won't do that again
私は自分自身に誓った もうあんな事を繰り返さないと

It's got to be perfect
けがれない人生を生きたい

It's got to be worth it
生きる価値のある

Too many people take second best
次善の生き方を選ぶ者のなんと多いことだろう

But I won't take anything less
だけど,私は何も失わない

It's got to be perfect
最高の人生にしてみせる


最近久しぶりに「Fairground attraction」のCDを聴いてみたのだが,良い曲だとあらためて思ったから紹介した. 音源は簡単に入手できます.良かったら聴いてみては.


6/2(土)

今週のリハーサル風景をUP.毎度似たようなカットで恐縮ですが.

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今月は,現時点でハッキリしているだけでも5件のレコーディング(歌入れ)がある. うち3件が来週なので,今から仕込みで大変だ.


6/1(金)

影山リサの「LUCKY STAR」,HPでの先行販売を開始しました. 購入を希望される方は,こちらの通販用ページからどうぞ.

因みにこの「LUCKY STAR」,以前にも触れたが,盤面の仕様がアナログレコード風になってまして,ウチとしては本仕様の商品化第一号になります. ついでなので下に商品サンプルの画像をUP.良かったら是非入手してみて下さい.

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5/31(木)

「好きなタイプ」などといった「タイプ」とは何なのか. 人は無意識のうちに人間を類型化している. 誰でも過ごしてきた人生の時間相応に,他人との出会いが存在した筈で,その数々の他人との接触の中で様々な喜怒哀楽を経験して来ている. その結果,新しい出会いに遭遇した際,「この人は過去に出会ったあのタイプの人間だ」と大掴みに分別し,結果「この人は良い人だ」とか「コイツとは気が合わない」とかいう観測を,即座に成立させてしまう.そしてその経験則はわりと正しかったりする.

「私には好きな人間のタイプなど無い」と言う人は,もしかしたら上の類型化が上手く出来ていないだけなのかもしれず,だとしたらそれは,そんなに褒められたものではない.あんまりいい歳してそんな状態では,むしろ危険かもしれない. ケーススタディって大切です.それが上手い事が,社会人としての適性の一つだとすら私は思う.

そういえば,もう目にした人もいるかもしれないのですが,昨日からトップページに影山リサ「LUCKY STAR」の広告を入れている.ランダム表示なので,何度かアクセスしていると出てきます.


5/30(水)

私は音楽が好きだから斯様な仕事に就いているわけだが,この「好き」という感覚も意外と当てにならないものらしい. 何故なら,周囲から「カッコイイ」などと思われる仕事だからこそ「好き」であったりするケースがままあるからである. 音楽なんかも,実情はどうあれ表面的には世間から一目置かれる仕事の一つだとは思うのだが,未来永劫この地位を保ち続けていられる保証などどこにも無い.ある日突然「ダサい仕事」に成り下がる可能性も絶無であるとは言えない.

音楽が「ダサい仕事」に成り下がる日が来ても,今の私なら音楽制作に固執し続けるだろうが,しかし取っ掛かりの時点で,上に挙げた雑念が全く無かったとは言えない(よく覚えてないけど).やはり少年の頃などは,世間に「カッコイイ」と思われることを多少なりとも意識していたような気がする.

私も含め,人間はよく「自分の人生」と,天職とでもいうべき「属性を発揮できうる職業」との関連性に,一種の運命みたいなものを見出してしまいがちなのだが,やはりそれは偶然の産物に過ぎないのかもしれない.私だって江戸時代に生まれていたら,音楽屋になどなれない.

この時代に生まれてきた事に感謝している.音楽があったお陰で,私のような無能者にも生きる道があった. 今回の話にオチは無いのだが,私はこんな取り留めも無い事を日々考え,これをある種の奇貨だといつも思うようにしている.


5/29(火)

嘘臭いドラムの音やギターの音を満載したトラックを作ってみた.80年代ぐらいのある時期に流行したデジタルロックみたいなヤツ. もっとシンプルでアコースティックなものも何曲か作りたいのだが,作業時間が足りない.とにかく作りたい音の青写真が山積しているのに,実際に音にする時間が無い. しかしどうもウチの会社,この時期忙しいのは宿命的なものらしい.というわけで,今からとある会合でまた渋谷に出る.


5/28(月)

データの整理と音作りで,週末は全く休めなかった. その代わりと言っては何だが,新しい曲がまた一つ出来た.私は,良い作品が残せるのなら他には何も要らないと本気で思っているような人なので,休日返上ぐらいハッキリ言って平気なのだ.

HP(ここ)をマイナーチェンジする予定で,今新しいページをいくつか作らされている.近い内に公開すると思うので,しばしお持ちを.


5/27(日)

撮影風景,先週の残りをUP. 影山リサ,新作「LUCKY STAR」の販売開始に合わせて,近々多少の露出があるかもです.詳しい事が決まり次第このページでもお知らせして行きます.多分. 下は先週の撮影中のカット.

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下の写真は,スタジオ撮影の日に別件(新曲の打合せ)で現場に来ていた神田優花.

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5/26(土)

最近忙しい.今日も土曜というのについさっきまで来客で,やっと今一息ついてこのページを更新してます(現在17:30).

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神田優花.今週は都内某所にて,ちょっと久しぶりに撮影(ロケ)やりました. ここしばらく,撮影の上がりをなるべくUPしないようにしていたのですが,今回3枚上げてみました.こんな感じに仕上がってます. この日撮ったカットは,2ndアルバムのジャケ類に使う予定です.

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5/25(金)

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今日は一日スチール撮りでした. 今週は撮影が6件もあったお陰で,スタジオリハも入れられなかった.我々は何屋なんだ. もう少し考えてブッキングしよう.

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上は佳乃,下は片飛鳥. 今回撮ったカットは次回作のジャケ等に使用します.

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5/24(木)

今日は朝からロケでした. 天気も良くて撮影も順調に進んだのですが,一日中歩きっぱなしで疲れました.

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5/23(水)

広瀬沙希,昨日のラジオ(かつしかFM)出演時の写真をUPしてます. 

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5/22(火)

「色」は光の三原色(赤・緑・青)の混合率によって表現される.たったの三色によってである. 本来その三色の微妙な配合率(もっといえば可視光線の波長)の違いに過ぎないものに一々名前を付けることによって,こんにちのように豊富な種類の「色」は概念として成立している.

三色しかない絵の具では,まともな絵が描けないように,少ない語彙では鮮やかな世界観など構築しようがない. 心というキャンバスに,様々な感傷を描く絵の具が言語なのである. アーティストたる者が,ピンクという色を「赤と白の中間」と,紫という色を「青と赤を混ぜたような色」などと捉えているようでは,いずれその創作・表現活動に致命的な躓きを覚えるに違いない.紫は「青と赤を混ぜたもの」でなく,あくまで「紫」であり,「藍」とも「群青」とも「臙脂」とも違う.それらを全て別の色だと捉える事によって,初めて脳裏に繊細なビジョンを映し出せる. 表現者にとってのボキャブラリーは,画家にとっての絵の具なのである.12色の絵の具しか持たない者と数千色の絵の具を持つ者では,当然ながら表現できる世界にも雲泥の差が生まれてしまう. 国語力を育てなければ,絵画や音楽といった芸術に,心を震わせることなどきっと出来ない.


5/20(日)

「真面目さ」について. 人間の真面目さとは何をもってして判断すべきものなのだろう.真面目な人とは,雨にも負けず風にも負けず学校や会社に休まず通う人なのだろうか.あるいは,酒の量が少なかったり賭け事などに手を出さない人なのだろうか.暴力団員や不良少年は不真面目なのだろうか. 結論から言うと,私はそうは思わない. 人間の真面目さとは,「考える能力」のことなのではないだろうか. 日本一のヤクザになって極道史に名を残そうと思っている「真面目な暴力団員」だっているだろうが(暴力団の是非について言及しているのではない),虫も殺さぬ程に善良でいて,尚且つ不真面目な人もいる.

記憶とは,自分の過去に起こった客観的事象の単なる集積ではない.自分に纏わる過去の全てを実時間分インプットしている人間などあり得ず,皆何らか基準における取捨選択の末,物事を記憶化している筈である. 記憶とは,それらを紡ぐことによって自らに歴史を与えるもの,言わば自己そのものなのである.そしてそれらは全て言葉によって為される. 民族などという集団に歴史があるように,一個人にも歴史はあるべきものである.歴史を持たない人間など私には信用できない.

人には誰にだって感情ぐらいある.しかし瞬間的な感情だけなら犬猫はおろか,昆虫にだってあるかもしれない.感情=自己ではない. 何故自分が今この場所にいるのか,何故この人と一緒にいるのか,どういう馴れ初めで関係が始まり,どのような曲折を経て現在に至るのか,自分は何が好きなのか,そして何故それを好きになったのか,こういう事を総括するのは,一般的に人間にとって無駄な作業ではない. 歌手や音楽家になりたいと思っている人には,こういう事を日々考えたり,あらためて一から考え直してみるのも良いかもしれない. ひょっとしたら「自分は歌が歌いたいのではなく,歌手と呼ばれてみたかっただけだ」という事に気付いたり,それによってある種の熱が冷めたりするかもしれないのだが,決してそれは人生の躓きではなく,私にはむしろ,その人にとっての大きな進歩のように思える.


5/19(土)

神田優花,今週のリハーサル風景をUP. 新曲「Stars」の歌い方をチェックしてました.どのフレーズをどんな声色で歌うか,とかそういう事を色々と試行錯誤してたわけですが,やはりこの曲,大変そうだ.当初から予想はしていたが.

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影山リサ,今週のスタジオで撮った写真をUP.

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昨日,とある業者さんから問い合わせがあったそうなので,一応ここでも触れておく. 影山リサの「LUCKY STAR」というアイテムは,今の時点ではまだ販路が決まっていない(粗方の計画は立てているが,諸事情あって,詳細は現在検討中). 一応今のところ,どこかの販売業者に委託する前に,ウチのHP(ここ)での先行発売を予定してはいます. ついでながら,そんなに枚数刷ってないので,在庫はそんなに多くない.


5/18(金)

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今週のスタジオでのカットをUP(写真は片飛鳥). ここ最近,片飛鳥は歌い方を(ビブラートを極力抑えた歌唱法に)変えようと試みている.まだ調整段階なのですが,聴いた感じ,以前より良くなっている気がする.


5/17(木)

業務連絡. Infoのページにも載せてますが,先月末に締切ったオーディション(月刊Auditionその他の媒体で告知),本日付で一次選考の結果通知を発送済みとの事. 毎度の事ですが,審査通過者のみにしか発送していないそうなので悪しからず.


5/16(水)

特にモデルとかでなくても,一般的に芸能人は写真を撮られる生き物である.無論歌手とて例外でない. 写真はただ突っ立って撮られていれば良いというものではなく,やはりそこに「商品コンセプト」を反映させなければならず,必然的に「自分はどのように撮られたい」という意思みたいなものが必要となってくる.上がった写真(画像)を目にする消費者も,無意識であったとしても当然そこに何らかの精神を見出している.

ずぶの素人が初めて撮影に臨んだりすると,大抵上で述べたような「意思」の無い被写体となってしまう.私は,精神の介在しない画像を商品に載っけるのに,幾度難儀させられた事だろうか. ウチで活動を始める人は,本当に全くの未経験者もいるが,他所の事務所などにおいて年単位での活動実績のある,いわば「移籍組」もいたりする.しかしながら,私は現時点で,上の精神論に最初から通じていた人に会った事が無い.他所さんではこういう事をあまり言わないのだろうか.仮にそうだったとしても,プロになっていくような人は,きっと誰に言われるでもなく当然の事としてわきまえていたりするのだろう.

商業写真を撮られる必要のある人は,雑誌に載っているようなモデルさん達の写真をまじまじと見て欲しい.よほど鈍感な人でも無い限り,そこに精神を感じるはずである. ああいうモデルさん達は顔の造作なんかよりも,ここで言う「精神」の方を売り物としているのではないか. まあ元々の顔の造りが,その精神の触媒となっている部分はあるのだろうが.


5/15(火)

今,私にしては珍しくシャッフルの曲を書いている. 今月に入ってから結構なハイペースで曲を書いているのに,発表が全然追いついてないのがもどかしい. 神田優花は現在,新曲「Stars」の制作に入っているのだが,もうその次に録る予定の曲まで上がってしまっている.


5/14(月)

影山リサの新曲「LUCKY STAR」について. この曲のオリジナルバージョン(別バージョンも作った),終わり方がフェードアウトなのだが,よくよく考えてみれば,多分私の作品(ライティング〜マスタリングまで手がけたもの)では初めての試みになる. 一応説明しておくと,「フェードアウト」というのは,単に曲の結尾部のリフレインを,段階的にレベルを落としていくことによって徐々に聞こえなくする(終わらせる)だけの,POPSなどではごくポピュラーなアレンジ手法である.編曲やってて「終わらせ方」というのが思いつかない場合など,最も安易な解決策の一つなのだが,ライブ時用などに別の終わらせ方を考えておく必要が生じたりはする.

今までフェードアウトを使わなかったのは飽くまで偶々で,大した理由など無い. しかし今回の編集を終えてみて,事前に考えていたよりは面倒な工程だと思い始めている.それというのも,いい加減なボリュームカーブを描いていたら,たちまち不自然なフェードアウトに聞こえてしまったりするからだ. お手持ちのCDなどにフェードアウトの曲があったら是非聴いて検証してみて欲しいのだが,フェードアウト部(最後のリフレイン)をボリュームを上げて聴いてみると,エンジニアの仕事っぷりや時代的な傾向が伺えて面白い.テキトーに編集されたトラックなどを大音量で聴いていると,曲の尻が聴感上,バッサリ切れていたりする(アナログ時代の音にも似たような現象が見られるのだが,あれはダイナミックレンジの制約から来ている部分も大きいのだろう).あと波形編集ツールなんかには,一応フェードアウト用に選択範囲のレベルを直線的に,あるいは幾つかのプリセットのカーブ(関数的な曲線等)に沿って下げる,といったコマンドが用意されていたりはするが,それで作ったフェードアウトというのは,聴いてみたところどうも手抜き感が否めず,編集ツールや編集対象となる音にも因るのかもしれないが,現状では正直使用に耐えない.

因みに,CD用オーディオデータの16bit(96dB)という規格は動かしようがないので,どんなに丁寧に編集したところで,原理的に32bitのオーディオデータ以上の繊細な減衰を表現できる,なんて事はあり得ない.ただ,そこがエンジニアの腕の見せ所で,音が切れるタイミングやボリュームカーブの描き方などを工夫することによって,極力音楽的な(自然な)フェードアウトを作るのである. まあ私なんかはまだまだ未熟者なのだが.


5/13(日)

神田優花,新曲「Stars」のメロディーラインをチェック(下は先週のスタジオでのカット).この曲,早ければ今月中には歌録りに入ろうかと思ってます. あんまり今までの神田優花っぽくない曲なんで,どんな感じに仕上がるのかよく見えませんが.

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5/12(土)

音楽ダウンロードサイト「MOOCS」にて今年2月から始まりました,鈴木サヤカ「ふわふわ」の無料ダウンロード・キャンペーンが5/6(日)をもって終了となりました.聴いてくれた皆さん,いかがだったでしょうか. ほぼ同時期(2/14)に同じく無料ダウンロードをスタートした,神田優花「RACHEL」も明日(5/13(日))をもってキャンペーン終了となります.まだチェックしてない方は,この機会に是非落としてみて下さい.

影山リサ,完成したばかりの音源「LUCKY STAR」の仕上がりのチェックを兼ねてスタジオ入り.公開(販売開始)についての詳細はまだ未定です.決まり次第このページでもお知らせしていきます.

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5/11(金)

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今週のリハーサル風景をUP. 下は広瀬沙希.打合せ中です.

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5/10(木)

アーティストはストイックであるべきか.ストイックであるべきなら,それは何故なのか.私なりの持論を述べる.

アーティスト,とりわけタレントというのは,歌手であれ役者であれコメディアンであれ,彼らは表現者というような高尚なものであるのと同時に,事務所という会社の商品である.芸能という産業の一角を担い,場合によっては雇用なども生み出している.周りに群がっている人たちから見れば,芸能人というブランドはその人一人(タレント本人のみ)のものではない.従って,手前勝手な行動でそのブランドイメージを汚してもらっては当然困るのである. 更には,事務所などで裏方に徹しているスタッフたちは,純粋にアーティストのサポートする為にその人生を捧げている,というような受け身な存在ではなく,むしろ積極的に理想の「アーティスト像」というものを脳裏に描いている人たちなのではないかと思われる.少なくとも私はそうだ. だからして,生身の「アーティスト本人」と自分の中にある「アーティスト像」に激しい(許容範囲を超える)ブレが生じると,大袈裟でなく,仕事が出来なくなる. この傾向は,特に事務所という人間そのものを扱う機関において顕著なのかもしれない. 我々もスタッフとして携わる以上,アーティストにフラフラしてもらっては困るのである.

余談だが,昔とある女性アーティストのCDを聴きながらブックレットを眺めていたら,そこに本人の手によるコメントが載っていて,その内容は「スタッフの皆さん,私のこのアルバムを制作するためにがんばってくれてありがとう」みたいなものだったのだが,私は子供心ながら「この人,自分の仕事の意味が分かっているのだろうか」と不安になったことがある.


5/9(水)

諸事情あり,色々と作らないといけない書面類が山積してまして,ここ最近,スタッフの少ないウチは多少ドタバタしております.

ウチは最近リリースタイトルの数が若干減ってまして,写真素材の需要は当然それ(リリースタイトル)に比例するので,スチール撮りの回数もやや減ってます. 撮影関係のブッキングは物凄く面倒なので,回数が減ってくれるのが実は有難くて,全然やらないで済むならそれに越したことは無いのだが,ウチも一応音楽事務所である以上,そうも言ってられない. というわけで今月〜来月にかけて何件か撮影を入れる予定で,今スケジュールを組んでいる.

因みに,リリースタイトル数に関しては,何か営業的な作為があって減っているわけではない.無計画にやってたら,たまたまそうなっただけである. ついでに,ウチは音屋兼レーベルなので,リリース本数自体はある程度調整できる.また暫くしたらリリースラッシュとかになるかもしれない.よく分からないけど.


5/8(火)

神田優花は今週から新曲「Stars」の制作に入ります.連休中にオケを仕上げた曲なのだが,元々は10年以上前の作品になる.オケを作っている段階では,すぐに歌録りに入るつもりなど無かったのだが,仕上がったオケを聴いたら気分が変わった. 前もって言っておくが,この曲,完成させられる自信が無い.メロディーラインの音程が高過ぎるからである.主旋律に上のF#やGが頻発するので,曲を作るような人なら分かると思うが,かなり無茶なメロディーになっている. だったらKeyを下げればいいと思われる向きもあるかと思うが,この曲はどうしてもKeyを弄りたくなかった. 本当にこの曲は完成しないかもしれない.


5/6(日)

今日で連休も終わりだが,当初の予定通り古い作品をリファインしたりなど,今回は有意義な休暇だった. それにしても,次から次にアタマの中からアイディアが生まれてきているのに,それを音源化する作業が全然間に合っていない. 時間が欲しいと言いたいところだが,時間があればその分また新しいアイディアが生まれてしまうから困ったもんだ.


5/5(土)

私は音楽が仕事なのだが,趣味も同じく音楽である.今一応休みをもらっているのだが,やることは結局音作りになってしまう. 職務上必要な作業としての音楽制作と,趣味としての音作りは微妙に違うもので,この辺の機微は分かる人には分かってもらえると思う.仕事でだけしか音を弄らない人は,きっとすぐネタが尽きる筈である.音屋にとってはこういう時間こそが大切なのだと思う. 歌を歌う人なんかにとっても,レコーディングやライブ・リハーサルなどという具体的な作業時間だけが歌なのではなく,単に家で一人で音楽を聴いたり,「歌とは何か」について考えている時間が実は物凄く大切だったりする.その時間こそが自身の歌を深めていくきっかけになるのである.あらためて言うほどのことですら無いが.

上の文章を起こしていたらアタマを擡げてきたので,やや唐突だが以下,地価について述べる. ある時期高騰していた地価が,都心部などの商業区域などを中心にまた騰がりはじめているらしい.物価水準に釣り合わない程に暴騰し出すのなら,もう今度はさっさと政治に出動してもらいたい. 狭い国土で農耕ばかりやってたせいか,歴史的に見ても日本人は土地が好きである.しかしそろそろこの欲求を制御する倫理が出来ないのか.

地価は当然だが全ての物価に波及する.特に住居という生活の根幹を為すものに対して,直接的な影響を及ぼす. 私のような仕事をしていると,歌手を志して上京してくる10代ぐらいの若者とわりと頻繁に接するわけだが,その人たちにのしかかる「家賃」と言う負担をなんとか出来ないものかといつも思ってしまう.確かに探せば安い住居ぐらい存在するが,特に女性などの場合,月1万5千円のボロアパートに住むわけにも行かないだろう. 定職にも就かない10代〜20代の若者が,東京で自活しつつ音楽の道を志すのは容易でない.親などの援助が無ければ,ほとんどの時間をアルバイトなどに拘束されてしまうので,上で挙げた時間を持つゆとりを奪われてしまう.ややもすれば,手っ取り早く金を稼ぐ為に水商売などをやり出してしまう(水商売が悪い職業だと言うのではないが,あの手の精神的疲労は創造的気分と同居しにくい).当然ながら良質なクリエイターなど生まれ難くなる. 現状がこれ以上悪化しなければ良いのだけれど.


5/4(金)

連休なので今週はスタジオリハーサルが無かった.だからという訳でもないが,ここ何日か音作りばかりやっている.昨日は新しい曲のギターを録ってました. 私はアコギ(エレアコ)をラインで録ることが多いのだが,やっぱりマイクで録った音の方が良いですな. しかし,それにしても納得の行くアコギの音が録れない.小手先の録音方法やイコライジングなどではどうにもならないのかもしれない.やはりギターや弦そのものから変えたりしないといけないのだろうか. 因みに,現在私がメインで使っているのは,高校生の頃に確か5万円ぐらいで買ったエレアコである.いい加減に新しいの買おう.

影山リサのシングル「LUCKY STAR」のジャケが出来たのでUPしてみる.結構前から既にデータ自体は上がっていたのだが.

LUCKY STAR


5/3(木)

私は「懐かしい」という感傷を味わい難い精神の持ち主のようである. 現に10年くらい前の事などを昨日の出来事のように感じてしまう.要するに全然懐かしくないのである. 「懐かしさ」という感傷が,個人の時間感覚に依存しているという事に特に異論はないと思うが,私は時間を感じ難い体質なのだろうか.だからこのように子供の頃と同じ事をやっているのかもしれない.

私はこんな奴であるからして,他人と接する時も,その人における時間の経過速度に驚かされてしまうことがしばしばある.大袈裟でなく,数年会わない間に変化したその人に戦慄すら覚えてしまうのである. 因みに,ここでいう変化とは,人格における変化ではない.人の性格など基本的には変わらない.ここで指しているのは,あくまでその人を取り巻く環境の変化である. あれ程目まぐるしく環境が変わるのなら,そりゃ一昔前の事も懐かしかろう.

何故人は懐かしくなるのか,について今回述べようと思っていたのだが,面倒になったので止める事にした.いつか気が向いたらあらためて触れるかもしれない.


5/2(水)

49鍵とか32鍵(ちょっと少ないかも?)くらいのデスクに置けるMIDIキーボードが欲しい. 私はいまだに鍵盤系のフレーズを88鍵のエレピで入力していたりするので,最近セットアップが面倒に感じてきた.

連休の間に時間が取れたら,昔作った曲をいくつかリアレンジしようと思っている. ライターによっては10年前の曲なんて聞くに堪えないというような人もいるみたいだが,私は10年以上前に書いたような作品を今でも割と平気で使っている. 若い頃に作ったものは,無論今聴くと拙く感じる部分もあるが,過去のその時間の中でしか出来なかったようなものが多いので,それはそれで大切なものなのである.


5/1(火)

先月の月刊Audition(白夜書房)誌上で告知してましたオーディションは,4月末日(当日消印有効)をもって締切りとさせてもらってます. 選考作業は連休明けになるらしいので,今しばらくお待ち下さい.


4/30(月)

金曜からぶっ通しで編集やってたのですが,やっと一段落. 下に今回出来上がった曲の試聴用MP3上げてます.良かったらどうぞ.

LUCKY STAR」(MP3/0:50)

この「LUCKY STAR」,影山リサのファーストアイテムになる音源のタイトルチューンになります. 「影山リサ」について,私はプロデューサー的な立場では関わってません(ウチの社長がプロデュース)ので,音周り(作曲・編曲・Mix等)のみの担当になります.ライター兼エンジニアって感じですね.


4/29(日)

もう世間は連休に入ってるみたいですが,私は土日返上でマスタリング作業に当たってます. そういえばこのページの一昨日(4/27)付更新分,一部の画像が開けなかったみたいですが,現在修正済み,見られるようになってます.失礼しました.


4/28(土)

影山リサ,新曲「LUCKY STAR」の歌録りでした. 近々,この曲と前作「Neverland」を収録した音源を作ります.発売その他の詳細はまた後日お知らせします.お楽しみに.

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以下,神田優花.今週のリハーサル風景です.

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4/27(金)

今週のリハーサル風景をUP(写真・広瀬沙希).

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その他,今週のスタジオでのカット.

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4/26(木)

ゴールデンウィークは一応オフを取らせてもらうつもりなのだが,その為にも作業に一区切りつけなければ ならず,たまっている仕事を今大急ぎで片付けている. 何だか世間には9連休とかとらせてもらう人もいるみたいですが,羨ましいですね.さすがにウチでそれは無理っぽい. 基本的に私は無趣味なのだが,暇を見つけてはゴロゴロしているのが大好きなので,休みはいくらあっても困らない.

3月期(2月分)の売上げ明細に目を通してみたところ,ウチが出している携帯用コンテンツが結構売れているみたいなのだが,これは何故なのだろう. 無論売れてくれるのは(売れないよりは遥かに)有難いことではあるのだが,大したプロモーションもしてない商品が何でこんなに出ているのだろうか.理由を知っている人がいたら教えて欲しい. わりと長いこと音楽やってますが,あんまりこういう事って無いもので.


4/25(水)

ライブについて. 何度か同じテーマで述べたのだが,私はあまりライブとやらが好きでない.ウチは音屋だからというのもあるが,基本的にあまりライブなどあまりやらないので,個人的にも助かっている(だからこそこの仕事を選んでいる面もあるが). そういえば就職活動をしていた頃も,音楽関連の業種を色々当たったわけだが,イベント屋・コンサートスタッフの類にはどうしても食指が動かなかった.

子供の頃から好きなアーティストはたくさんいたが,好きなのはあくまで音源で,コンサートに足を運ぼうなんて発想はほとんど持った事が無い.だからして,大人になった今でも好きなのはあくまで録音物を作ることである. 昨日も,とあるライブに行こうか行くまいか真剣に悩んだのだが(この事自体かなり珍しい),天気が悪かったので結局止めた.何だか私の中にある衝動そのものがショボいのかもしれない.


4/24(火)

機材の老朽化が激しい.考えてもみれば今使っている録音機材類なんて,ほとんどは7年前に買ったような型落ちばかりで,要するに騙し騙し使っている状態である. いわゆる音屋さんたちの中には,並んだ機材を眺める事が趣味,というような,いわば「機材マニア」のような人達が結構いるのだが,私は全くもってそういうタイプに属さない.機材類を音を作る「道具」としてしか見ておらず,趣味性をカケラも投影していない. むしろ機材(特にハード類)など,金は掛かるは,場所を取るわ,メンテナンスは必要だわ,面倒なことばかりでハッキリ言って嫌いです.必要がなければ全部捨てたいぐらいだ.


4/23(月)

来月あたりに発表を予定している影山リサの音源がありまして,ここ何日かそのデザインをやってました.先月あたりから導入を検討していた,新仕様(アナログレコード風盤面)での商品第一号になります. 一応今のところ来月中に発表の予定なんですが,多少後ろにずれ込むかもしれません.


4/22(日)

もう何年か前になるが,一時期80年代風のFMサウンドに凝っていて,その手の音(FM音源)を駆使した曲もいくつか作ってみた.当時は使いどころが無くて殆どお蔵入りとなっていたのだが,ここ最近俄かにそれらのストックを使う機会が出てきた. 私は曲そのものだけでなく,音楽的な「企画」みたいなもののアイディアも日々考えていて,今現在も次々に蓄積されている.だから,今の私のアタマの中にあるイメージと,毎日のスタジオワーク・編集作業において手を付けている作品が全然違う(時間的なギャップがあり過ぎる)ものだったりするケースは多い.先日録った神田優花の新曲も曲自体(原形)は10年以上前に作ったものである. 私としても,アタマの中で渦巻いているアイディアを早く音にしたいののだが,とにかく時間が足りない.こんな感じで最後まで大量のストックを残したまま死んでいったりするのだろうか.


4/21(土)

神田優花,いつものリハーサル.

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以下,影山リサ.来週は新曲「LUCKY STAR」の歌録りです.

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4/20(金)

今週スタジオで撮った写真を一部UP.

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4/18(水)

私は過去に何度かこのページで「音楽は儲からない」ということを述べたのだが,人によってはその事実が受け入れ難いものであったりするらしい.要するに「そんな事はない.儲かるはずだ」というわけだ.それどころか「儲かりそうだから音楽をやりたい」という人までいる始末. 無論,能力主義の世界なので,売れれば儲かります.それは間違いない. でも売れなければ儲かりません.そして殆どの人は売れません.私が言っているのはこれだけ.

私のような芸術至上主義者にとっては,もはや儲かるか否かすらどうでも良く感じる時がある.より儲かる仕事が優位であると感じるのなら,創作なんて何故やるのだろう.芸術作品を作る意味は,経済的な見返りとは別の次元にあると思うのだが. まあこんな事ばかり考えているから,私はどんどん変な奴になってしまうのかもしれないが. とにかく,金儲けの上手な人より芸術家の方が優位だと思えなかったら,創作という作業を続けて行く事自体いつか辛くなってしまうかもしれない.


4/17(火)

東京はここ何日か天気が悪い.まるで梅雨のようだ. 基本的に私の仕事は天候に左右されないのだが,ここまで雨が続くと多少気が滅入りますな.

広瀬沙希,新曲の上がりのチェックを兼ねてリハーサル.下は先週のスタジオでの一枚.

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4/16(月)

人は何故迷うのか.私は今になって分かるのだが,自分の心で物事を判断出来ない(「他人の目」で物事を見ている)からこそ,人は迷うのだと思う. 自分の心が判断しているのなら,好きなもの・欲しいものなど,それこそ一目瞭然の筈である. 「物事を自分の心で見るなんて当たり前の事ではないか」と言う人もいるだろうと思うが,人間はどうやらそんなに単純ではないようである.

英会話教室にでも勧誘されたとする.人は瞬間的に「語学を学びたい」・「英語を喋ってみたい」,あるいは「何の興味も湧かない」・「勉強は嫌いだ」などと感じる筈だが,直感的なそれこそが本来一番正しい. しかし次の瞬間別の思惑がアタマを擡げてくる.「英語を喋ることが出来たらカッコ良いかも」・「異性にモテるかも」・「サラリーに影響するかも」など,無論他人の目は一つでは無い.あるいは逆に「授業料を払えばその分預金が減る」などと思ったりもする.預金残高がより多い人を優位であるとする他人の目(価値観)も当然あり得る.それらがアタマの中で交錯した結果,人は往々にして迷う.

例えば,勉学に励む子供にその動機を問うた時,その子が「学問が好きだから」と躊躇なく答えられるのなら,それは「自分の心」である.「学校の先生に言われたから」・「成績が上がれば親が喜ぶから」・「いい学校に行かねば世間体が悪いから」などと思っているのであれば,それらは全て他人の目だ. 他人の目で生きている人の人生は,総じてやや息苦しそうに見える. 大抵どんな人でもそういう自分を経験するし,そこから脱却できずに人生を終える人も多いのだろうが,私はある時,以上の事に気付いて,「他人の目に縛られながら生きる毎日」にオサラバしたくなった.心の中に棲んでいる「本当の自分」が欲しがっているものが分かってしまったから.

他人の目で自分を見ている人は,常に言動に一貫性が持てず,私のような単純な人にとって,そういう人は時に「信用の置けない人間」に映ったりもする. 親がうるさいから・周りも皆やっているから,勉強をする. 皆が就職活動をしているから自分もしてみる.やりたい仕事も無いのに就職が決まらない事が不安で仕方がない. 周囲の人に恋人が出来たのに自分にいないのが不安だから,適当な恋人を作ってみる. いい年して独身である事に不安を感じるので,何となく結婚などしてみる.子供なども作ってみる.しかし自分の心が本当に欲した安寧でないから,フラフラと離婚してみたりもする. 他人に一目置かれたいあまりに,本来好きでもない筈の音楽などに手を付けてみる.好きな作業でないから続けていくうちに直ぐ年齢などが気になり始める. とにかく目の前だけの一時的な局面に右往左往するので,自身の発言も常に心から出た「本心」とは限らず,従って,それを翻す事にも苦を伴わない. 以前にも触れた事があるのだが,年齢という数値は肉体の老化を指すのではない.時間なんて人が考え出したものに過ぎないのに,そこに起因する「世間体の悪さ」のような一種の虚仮・幻影に,不安を覚えた精神が自壊しているだけである.年齢なんて自分の影に怯えているようなものだ. こういう現象をここで「他人の目」と言っている.

確かに,自分の心で物事を判断せずにいられる事が,生物としての人間の偉大さと言えない事もない(例えば,渡り鳥がそんな奴ばかりだったら大変なことである).そういう人がいくら世の中に存在してもいいのである.というか,秩序を維持する為には必要ですらあると思う. しかしながら,その人達が「創作」という,自分の内面を抉り出していくような作業に不向きなことは間違いない. 学問に興味など微塵も持ってないのに勉強に明け暮れたり,歌が好きでもないのに歌手を目指したり,こういう「自分の心の在り処」が分からず迷っている人は,自分という生き物がどんな餌を欲しがっているのか,真剣に向き合っていないのである. イヤイヤ勉強をさせられている子供でも,紙の上の成績が上がればきっと良い学校にぐらい行ける.良い学校に行けば,きっと世間的に通りの良い職業にぐらい就ける.良い就職先が見つかればきっと良いお給金がもらえるし,良いお給金がもらえれば良い縁談も待っている. しかし「アーティスト」になろうと思ったらそう簡単には行かない.「自分の心の在り処を捕まえられる事」が表現者として最も重要な条件だから.

音楽の道を志す人が「音楽が好きだから」と偽りなく言えるのであれば,それは自分の心である.もし「歌手になれば世間に一目置かれるから」とか思っているなら,そういうお荷物はとっとと捨ててしまった方が,きっとこの先の人生も楽になると思う.


4/15(日)

酒について考えてみた.酒と言っても飲み物としてのliqueurの話では無く,「酒席」(それも異性との接触を主目的とした)についてである. 私は飲めないわけではないが,普段酒を飲まない. キャバクラ通いだの合コンだのといった類の酒席を常習的に好む人種がいることも知識としては知っているし,人がどんな享楽的な趣味を持とうが一向に構わないと思うが,私自身は好まない.付き合う事も基本的に無い. 理由は単に惹かれないからというだけの感覚的なものだが,酒席に入れ揚げることについて,若干否定的な感覚を持っていることは否めない. 酒は建設的でないのである.何かが好きであるとか楽しいとか,将来に光を見出せるとか,そういうポジティブな感覚で酒席に執着する人なんているのだろうか.むしろ浮世を儚んでいるのではないのか.無論当事者は気にもしていないのだろうが.

世の中に「お金が欲しい」という人はたくさんいると思うが,「お金」は果たして本当に「欲しいもの」なのだろうか.「お金の使い道」にして初めて欲しいものになり得るのではないか. 更には,お金の使い道の中でも上に挙げた「酒席」のような単なる憂さ晴らしは,本当に欲しいものに当たるのだろうか.当たらないような気がする.


4/14(土)

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神田優花,新曲のチェックを兼ねてスタジオ入り. 下に今回の新曲「水底」のサンプルをUPしてます.よかったら聴いて下さい.

水底」(MP3/0:40)

影山リサ,今週のリハーサルの模様をUP. こっちは前回のラジオ番組の反省会を兼ねてのスタジオ入りでした.

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4/13(金)

自己を確立すべきだといわれる.学校の先生などがよく言うわけだが,自己の確立とは何ぞや,というのが今回のテーマである.

人は時に,自分の着たい服と他人の目に良く映る服の区別がつかなくなる.この区別がハッキリつくようになる事が,即ち「自己の確立」なのではあるまいか.自己を確立すれば物事の優先順位などが明確になり,アタマの中が整理されるので,数多ある人生の岐路において一々迷わなくなる. 私は人生のある時期に,音楽をやる上で,必要なもの・捨てても構わないもの・むしろ捨てねばならないもの,がハッキリ見え出した. 今にして思えば,その辺の整理がついていない人というのは,この作業をやれる精神状態にない,と言っていいのかもしれない.ひるがえって考えると,その「整理をつけられる事」こそが,この作業をやる上での最大の適性となるのかもしれず,それに比べれば歌の上手い下手など大した問題と思えない.

人生に葛藤はあっていい.「自分の着たい服」を着るために,いくらかの「他人の目に良く映る服」を捨てるという瞬間が現時点でまだ訪れていなくても,その人なりのペースで答えを出して行ってもらいたい.しかし,この前者に当たるものが「音楽」である人なら,いずれその人は音楽家になるだろうが,その人にとっての音楽が後者である場合もある.そういう人にとっての音楽という作業に,我々は付き合う時間を持ち合わせていない.この辺は悪く思わないで欲しいと思っています.


4/12(木)

神田優花の新曲「水底(みなそこ)」の編集やってました. 私が言うのも何だが,かなり良く仕上がった.最近の神田優花の歌は,微妙なビブラートやグリッサンド,音と音の繋ぎなどの歌唱表現が細かすぎて,もうピッチ補正ツールなどで軽々にいじれない. 最初の頃(神田優花がうちで活動始めた当初)は,レコーディング時のOKテイクなどもスタッフ(エンジニア)側が決めていたのだが,ここ最近は神田優花本人が納得出来たところで歌録りを終えている. この「水底」,リリースなども全く決まっておらず,いつ公開出来るか分かりませんが,いずれ何らかの形では発表したいと考えています.お楽しみに.


4/11(水)

影山リサ.以下,4/10のラジオ収録の模様をUPします.

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当日のオンエア聴いてくれた人がいるかもしれませんが,初めてのラジオ出演だったので,反省点はあるものの,まああんなものかと. 放送内容は影山リサのトークと楽曲(「Mindscape」/神田優花・「Neverland」影山リサ)のオンエアという至ってシンプルなものでした. 来月22日,同番組に広瀬沙希が出演しますので,こちらもよろしく.


4/9(月)

このテキストを打つのもダルいぐらい疲れているのだが,一応報告だけ. 明日の午後6時から,影山リサがラジオ番組に出演します(詳細はInfo参照).これ読んでる皆さんも良かったら聴いて下さいね.


4/7(土)

神田優花,新曲のレコーディングでした. 来週は編集作業だけで終わりそうです.

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以下,今週のスタジオで撮ったカットをUP(写真は影山リサ).

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4/6(金)

今週はキツかった. 3曲も歌録りをやったので,以下その模様を一部UP.

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4/5(木)

都知事選挙があるそうな.今回は10数人の立候補者が出ているらしいが,どう考えても売名目的で出馬しているような人が目に付く. 私のような生業の人間は,広告における費用対効果にそれなりに敏感にならざるを得ないのだが,都知事選に立候補する為に必要になる供託金は三百万円だそうである.売名目的で出ているような人のほとんどにこの供託金は還って来ないので,三百万円は事実上の広告費と言って良い. 供託金制度の是非についてはさておき,そもそもこの制度は「選挙の妨害や売名など不正な目的での立候補を抑制するため」のものらしい.三百万も金が掛かるなら,ふざけて立候補する奴もそういないだろう,と言う事か. しかし,例えば本屋に並んでいるような雑誌などにカラー広告を出そうと思えば,雑誌やスペースにも因るが二・三百万ぐらいは平気で掛かったりする.いくらメジャー誌でも,実際に手に取って読む人以外に対しては,ほとんど何の宣伝効果も無いのにその金額である. 都道府県知事選挙,特に都知事選のような注目度の高い選挙の場合,立候補者には政見放送は無論のこと,元よりある程度知名度のある候補者なら,ほとんどの民放・新聞あるいはその手のトピックを扱う雑誌・Web媒体の類で触れてもらえるわけで,芸能人のような「不特定多数の人の目に触れてナンボ」の商売の人にとって,このケースの三百万という広告費は物凄くコストパフォーマンスが高い. 道理でわらわらと出てくるわけだ.


4/4(水)

今週レコーディングする曲が三曲もあって,その仕込みと先週録った音の編集とでまた俄かに忙しい. そういえば最近,CD盤面やケース(ジャケット)の仕様面でのメニューを増やす事を検討していたのだが,とりあえず盤面のみ新しい仕様を導入することになった.ジャケについては,紙ジャケ(LPレコードみたいなもの)を導入しようかと考えていたのだが,生産ラインがイマイチ安定しなさそうなのと,紙の劣化が早そうなので結局やめた.


4/2(月)

神田優花,リハーサル.新曲の最終チェックやってました.今週歌録りします.

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影山リサ.相変わらず新曲「LUCKY STAR」の練習やってました. まだよく分からないのですが,できれば来月末ぐらいにはレコーディングを始めたいと思ってます. 以下,先週のリハーサル風景.

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4/1(日)

とある未成年の女性アイドルが二度目の喫煙事件を起こし,芸能界引退を余儀なくされているらしい. 本来表現の場が用意されていた「有名人」が,我が身でもってその足場を掘り崩しているなど,勿体無さ過ぎて涙が出るような話である.

話題となっているその人には,随分年上の恋人がいるという.それ自体は全くもって結構なことなのだが,きっと彼女はタバコを吸いたいわけでも,恋をしているわけでもなく,ただ毎日に十分な刺激を感じられないのだろうと思われる.以前まで楽しく思えていた筈のことも,当時何がそんなに楽しかったのか,イマイチ思い出せなくなっているのではないか.

未成年といってもその彼女は19歳とのことである.もう一年もすれば法的には成人で,単なる喫煙ぐらいでは何の咎めも受けなくなる.しかしながら「もう一年待ってからタバコなんて吸えばいいのに」というのはやや愚問に近い.彼女はきっと未成年だからこそタバコに手を出しているわけで,もう一年経てばきっとそんな行為ぐらいでは自分の退屈を満たせなくなるに違いない. 今の彼女は,タバコを吸っている自分や年の離れた恋人といる自分を,周囲によりもむしろ自分自身に見せびらかしたいのだと思うのだが,きっと近い将来,それらの刺激にもすぐ飽き足らなくなるだろう. 皮肉な話だが,彼女がもし芸能人でなく,ごく普通の女の子だったら,逆に今ごろ一念発起して芸能界でも志したかもしれない.まあ多分その情熱も長続きしないだろうが. 結局「毎日が面白くない人」の過ごす毎日を面白くする方法など,私には皆目分からない.

芸能人として脚光を浴び,メディアで持て囃され,挙句の果てには醜聞という形でさえ世間に関心をもたれている人がいる.羨ましい限りと言いたいところだが,実のところそんなに羨ましいと思えない. それは,「タバコ」も「年の離れた恋人」も「芸能人としての栄光」も「世間からの注目」も,どれを一つとってみても,きっと今のその人にとって本当に欲しいものでは無いから.

一応私にも夢があって,「うちの音楽を売りたい」というのがそのうちの一つでもある. 自分の人生を質草に入れてでも「欲しい」と思うものがあるにも関わらず,現状それが満足に手に入らないでいるのだが,手に入らない事が苦痛かと問われれば,正直然程でもない. 私はむしろ「欲しいと思うものが無くなる事」の方が怖い.


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